やはり安全保障関連法案は廃案にすべきだろう。

 きのう国会で開かれた党首討論で、安保法案について安倍晋三首相は合憲だと強調したが、納得のいく説明ではなかった。

 多くの憲法学者から「憲法違反」との指摘を受けたにもかかわらず、明確な反論ができない。そんな法案を成立させるわけにはいかない。

 討論で民主党の岡田克也代表と共産党の志位和夫委員長は、安保法案の主軸である集団的自衛権の行使は憲法に違反していると追及した。

 これに対して安倍首相は、法案は1972年の政府見解の基本的な論理に基づいて作られたと説明。59年の砂川事件最高裁判決も引用した。

 確かに72年の政府見解は、憲法9条の下でも例外的に自衛のための武力行使が許される場合があるとしている。

 しかし、これはあくまでも個別的自衛権についての話である。見解は、外国の武力攻撃による急迫不正の事態に対処するために、必要最小限度の措置なら個別的自衛権が認められる場合があるとしたのであり、その範囲を超える集団的自衛権の行使は憲法上許されないと結論づけた。

 結論を百八十度変えておきながら、基本的に変わらないとは一体どういうことなのか。今月初めの衆院憲法審査会で、憲法学者が「政府見解の基本的な論理の枠内では説明がつかない」と指摘したのは当然である。

 砂川判決も、在日米軍の合憲性が問われた事件であり、集団的自衛権を認めたものではない。

 安倍首相は、集団的自衛権での武力行使はそのときどきで適切に判断し、基準は「新3要件」で決まっていると強調した。

 だが、首相は中東・ホルムズ海峡での停戦前の機雷掃海ができる場合があると説明している。海峡が封鎖され、石油が輸入できなくなる影響は大きいが、国の存立が根底から覆される「存立危機事態」と言えるのだろうか。これでは、時の政権の判断次第ということになりかねない。

 政府は、憲法学者らの「違憲」の指摘に反論する文書で、新3要件について「ある程度抽象的な表現が用いられることは避けられない」とも記している。「いかなる事態にも備えておく」という理由だが、武力行使の範囲が際限なく広がる懸念がさらに大きくなったといえよう。

 安保法案に対しては、憲法学者だけではなく、自民党の元副総裁らも「地球の裏側で後方支援活動をすると、憲法違反になる行動を引き起こす」などと反対している。

 共同通信社が先月末に行った世論調査では、安保法案に48%が反対し、安倍政権が「十分に説明しているとは思わない」との回答が81%に上っている。

 政府、与党は法案を成立させるため、今国会の会期を延長させる方針だが、強引な運営は許されない。