危険な運転をする自転車利用者に、安全講習を義務付ける規定を盛り込んだ改正道交法が今月、施行された。

 自転車運転者が深刻な事故の加害者となるのを防ぐのが狙いだ。施行を機に、ルール順守を一層心掛け、事故の防止につなげたい。

 改正法で危険行為とされたのは14項目。信号無視や酒酔い運転、ブレーキのない自転車の運転のほか、携帯電話を使用しながら運転して事故を起こした安全運転義務違反などである。

 対象は14歳以上で、3年間に2回以上摘発された違反者は講習を受けなければならない。3カ月以内に受講しないと5万円以下の罰金が科せられる。

 自転車事故は、昨年1年間に全国で約10万9千件発生している。県内では746件で6人が亡くなった。

 ルールを守らない運転者は少なくない。徳島県警は昨年、無灯火や2人乗り運転などの行為に1万48件の警告を行い、ブレーキのない「ピストバイク」と呼ばれる自転車の運転に2件の交通違反切符を交付した。

 無謀な運転は自らを危険にさらすだけでなく、死亡事故を起こす恐れがある。手軽で便利な自転車だが、使い方を誤ると「凶器」になることをあらためて肝に銘じなければならない。

 重大な事故を引き起こした無謀運転者に、高額な賠償を命じる判決も、各地で出されている。

 東京地裁は昨年、赤信号を無視して主婦をはね、死亡させたとして、男性に約4700万円の支払いを命じた。2013年には神戸地裁が、小学5年の男児が60代女性に衝突して重い障害を負わせた事故をめぐって、男児の親に約9500万円の支払いを命じている。

 こうした判決を受け、自転車事故による負傷や損害賠償に備えた「自転車向け保険」が注目されている。

 兵庫県は今年3月、利用者に自転車保険への加入を義務付ける条例を制定した。事故に対する認識を改めてもらうことや、安全意識の向上、被害者救済などが目的だ。

 安全に気を配っていても、無謀な運転に巻き込まれるなど衝突を避けられないケースがある。これからは自動車と同様に、万が一の事故に対する備えが必要だろう。

 法改正により、家庭や学校が子どもにルールを教え、守らせる責任はさらに重くなった。高校生らが傘差しや無灯火、スマホを見ながら自転車で走る姿を、県内でもよく見掛ける。事故は、加害者になっても被害者になっても、人生の重荷となる。

 地域や学校では交通安全教室を通じて、家庭では日々の声掛けや話し合いで、安全教育に力を注いでもらいたい。

 地球温暖化の防止や健康づくりの観点からも、自転車は有益な乗り物である。ルールやマナーを守りながら利用したい。