大手電力会社の送配電部門を発電部門から切り離す「発送電分離」を、2020年4月に実施する改正電気事業法が成立した。

 大手が事実上独占している送配電網を、新規参入事業者も公平に利用できるようにし、競争を促すのが狙いだ。

 これにより電気料金が下がり、多様なサービスの提供も可能になると期待されている。電力市場が活性化し、消費者の利益向上につながるよう、政府はしっかりと取り組んでもらいたい。

 発送電分離は、政府が3段階で進める「電力システム改革」の総仕上げとなる。

 第1段階は「電力広域的運営推進機関」の設置で、大手や新規事業者の約600社が参加して4月に発足した。全国規模での電力融通ができるようにする組織だ。

 第2段階が来年4月に始まる電力小売りの全面自由化である。既に自由化された企業向けに加え、家庭向けも市場開放され、消費者が電力会社を自由に選べるようになる。

 そこで重要なのが、新規事業者が適正な料金で送配電網を使えるようにすることだ。

 大手が持つ送配電部門を別会社にすることで、取引の透明性を高め、新規事業者が不利にならないようにする。第3段階の発送電分離には、そうした重要な意味がある。

 だが、別会社にしても大手の影響力が残る可能性は否定できない。このため経済産業省は、分離した送配電会社が新規事業者を公平に扱っているかどうかを監視する委員会を設けることにした。

 健全な競争環境を整備できるかが、電力改革の成否の鍵を握っている。厳しく監視し中立性を確保できるよう、委員会には強力な権限を持たせてもらいたい。

 懸念されるのは、改正法の付則に、発送電分離をする際は電力需給の改善状況を検証し、「必要な措置を講じる」との文言が盛り込まれたことだ。原発の再稼働が進まなければ、大手が分離の先送りを求める可能性がある。

 原発の発電費用は火力などに比べて安いとされ、大手は発送電分離前にできるだけ原発を再稼働させ、競争力を回復しておきたいのだろう。

 しかし、小売りの全面自由化により、消費者は原発でつくられた電気を買わない選択ができるようになる。廃棄物処分や事故のリスクも抱える原発は、競争が激化する自由化と果たして相いれるのだろうか。

 そもそも電力改革が本格化したのは、東京電力福島第1原発事故で大手の独占体制の欠点が露呈したのがきっかけである。電力の融通が利かないことに加え、大規模集中型の原発に頼るもろさが問題となった。

 地域をまたいだ小売りや融通が実現する自由化は、小規模分散型である再生エネルギーの可能性を広げるものだ。

 改革が着実に進み、再生エネの導入が促進されるよう期待したい。