ギリシャがデフォルト(債務不履行)に陥る可能性が濃厚となった。既に、為替や株式市場は大きな値動きを見せている。世界的混乱を引き起こさないためにも、ギリシャと欧州連合(EU)は危機打開に向け、直ちに協議を始めるべきだ。
 
 国際通貨基金(IMF)への16億ユーロ(約2200億円)の返済期限はきょうだ。しかし、ギリシャ政府の資金は底を突いており、支払うのは困難な状況である。
 
 この事態を招いたのは、ギリシャ政府の対応のまずさにある。
 
 今月末が期限の金融支援延長をめぐり、EUが条件として提示した財政緊縮策の受け入れについて、ギリシャは28日になって、来月5日に国民投票にかけることを決めた。これに反発し、EUが延長拒否を通告した。
 
 チプラス首相は、もっと早い段階でEUの提案を検討し、国民に理解を求めるべきだった。追い込まれた末に、緊縮案受け入れの諾否を国民に「丸投げ」して、首相の責任を果たせるのか。
 
 国民投票の結果にかかわらず、先行きは見通せない。緊縮策の受け入れを決めた場合でも、IMFへの返済がどうなるかは不透明だ。否決した場合は、EUとの対立がさらに深まり、ユーロ圏離脱に発展する可能性がある。
 
 EUは、ギリシャと財政緊縮策に関する合意がない限り、融資を再開しない方針だ。ギリシャは7、8月にも巨額の国債償還を控えており、EUの支援がなければデフォルトは避けられない。
 
 デフォルトに陥れば、公務員の給与や年金などの支払いに支障が出る。銀行の経営が揺らぐ恐れもある。不安になった市民らは銀行の前に長い列をつくり、預金を引き出している。
 
 きのう、ギリシャ政府は預金流出を止めるため、国内銀行の営業を停止した。手持ちのお金がなくなれば、国民は食料品の購入さえままならなくなる。生活が危機的な状況にならないよう、手だてを考えるべきだ。
 
 日本にも影響は及んでいる。きのうの日経平均株価の下げ幅は600円に迫り、ことし最大となった。ユーロは大幅に売られ、前週末から2円以上も円高に動いている。
 
 日本の金融機関は、ギリシャを震源とする前回の欧州債務危機以降、運用資産を見直すなどの対策を取っている。しかし、今回の余波がどのように現れるかは分からない。政府は、影響を最小限に抑えるよう努めてもらいたい。
 
 欧州でも、欧州中央銀行(ECB)などによるセーフティーネットが整備されている。だが、危機回避への対応には細心の注意が必要だ。財政基盤の弱いイタリアやスペインなどの国債や株式が売り浴びせられれば、欧州全体に危機が広がりかねない。
 
 EUとECBには、ユーロ圏の金融安定確保へ、あらゆる措置を取るよう求めたい。