政府が、経済財政運営の指針となる「骨太方針」を閣議決定した。高い経済成長による税収増を当てにして財政健全化を目指すとしたのが特徴である。
 
 しかし、同時に決定した新たな成長戦略は力不足の印象が否めない。歳出の抑制でも数値目標を明示せず、実効性は不透明だ。
 
 国と地方を合わせた長期債務残高は1千兆円規模に達しており、日本の財政状況は先進国で最悪の水準にある。
 
 骨太方針は2020年度に財政を健全化させる政府目標を堅持したが、これでは達成への意欲が疑われよう。成長頼みではなく、しっかりとした道筋を示すべきである。
 
 政府目標は、新たな借金をせずに政策経費を賄えるかどうかを示す国と地方の基礎的財政収支を、20年度に黒字化するというものだ。
 
 そのために骨太方針に盛り込んだのが、来年度から5年間の「経済・財政再生計画」である。
 
 計画は18年度までを「集中改革期間」とし、現在は国内総生産(GDP)比で3・3%(約16兆4千億円)の赤字となっているのを、18年度に1%程度に減らす中間目標を設定。進み具合を検証し、不十分なら追加措置で対応するとした。
 
 だが、計画は名目のGDP成長率が3%以上となる景気拡大が続くことを前提としている。過去10年で成長率が3%以上になったことは一度もなく、見通しが甘過ぎる。
 
 しかも、内閣府の試算では、高い成長が実現したとしても20年度は黒字にならず、9兆4千億円の赤字とされる。これをどう埋めるのか。
 
 骨太方針と新成長戦略は、割安なジェネリック医薬品(後発薬)の普及率引き上げや公共サービスへの民間参入、大学改革による技術開発力の底上げなどを打ち出したが、成長を強力に後押しする内容とは言い難い。
 
 歳出を抑制できるかどうかも見通せない。
 
 骨太方針は、国の政策に使う一般歳出の実質的な伸びについて、1兆6千億円程度に抑えた過去3年間の基調を18年度まで継続することを盛り込んだ。
 
 ただ、あくまでも「目安」という位置付けで、厳格な目標にはしなかった。17年春の消費税再増税に対応する景気下支えなどを理由に歳出圧力が高まり、目安が骨抜きにされる恐れがある。
 
 一般歳出のうち、伸びの大きい社会保障費では、医療や介護で高所得者の負担増を検討するとした。これには、来夏の参院選を控えて自民党内から異論が出る可能性があり、難航が予想される。
 
 20年度の基礎的財政収支の黒字化は世界に向けた公約である。達成できなければ、国際的な信用や市場の信頼を失うことになる。
 
 痛みを伴う政策をいつまでも避けることはできまい。政府は強い危機感を持って臨まなければならない。