徳島東署の移転先が、徳島本町交差点に面した徳島地方・家庭裁判所跡地に決まった。3月には新庁舎の整備基本構想もまとまっており、県警は2018年度から設計などに着手する。

 1971年に完成した東署は老朽化が著しい上に狭く、耐震強度も不足している。建て替えは長年の懸案だっただけに、建設に向けて本格的に動き出したことを歓迎したい。スピード感を持って完成を目指してほしい。

 移転先は、主要幹線の国道192号と国道11号に面し、歓楽街や徳島駅にも近い。事件事故の発生に備える警察署にとっては好立地といえる。裁判所や検察庁もすぐそばにあり、日々の刑事手続きにも好都合だろう。

 東署の現庁舎(地上5階、地下1階)の敷地は約5千平方メートルある。移転先は、現在建て替え工事が進んでいる裁判所敷地内の北側約4千平方メートルを想定している。新庁舎の延べ床面積は、現在の1・5倍の8750平方メートルに広げる計画で、高層階の建物となる。

 現庁舎の耐震強度不足が指摘されたのは約20年前である。老朽化に加えて、南海トラフ巨大地震に備える必要性から耐震改修や建て替えが求められたが、財政難などがネックとなって先延ばしされてきた。

 そのため、耐震性だけではなく、さまざまな問題も出てきている。

 各課のフロアは狭く、取調室や少年補導室、相談室が不足している。建物はIT化に対応しておらず、捜査などに必要な機器を導入するのも難しい。留置施設の構造も、時代にそぐわなくなっているという。

 東署管内の事件事故は県全体の約3割を占めており、警察官は最多の約260人、来庁者も1日約250人に上る。だが、狭いロビーや廊下などを待合場所として使っているのが現状だ。障害者や高齢者に配慮したバリアフリーにも十分対応できていない。

 県警は2011年以降、新庁舎の整備について、検討委員会や有識者会議を設けて議論してきたほか、若手職員の意識調査も行って基本構想をまとめた。整備方針の大きな特徴は、防災の機能を併せ持つ「新防災センター」として位置付けていることだ。

 災害発生時に津波避難場所とするほか、ヘリポートなどの整備も検討している。できるだけ多くの住民の安全を確保できるよう、知恵を絞ってほしい。

 建設コストなどを抑えるため、民間資金活用による社会資本整備(PFI)方式の導入も目指す。導入されれば、単独の警察署としては全国初となる。サービス低下を招かないよう留意しながら、検討を進める必要がある。

 建て替えには多額の県費が投入される。県都の治安を守る顔として、捜査力を一層向上させるとともに、住民の多様なニーズに対応できる署を目指してもらいたい。