EU(欧州連合)が求める財政再建策の賛否を問うギリシャの国民投票は、反対が大差で賛成を上回った。

 事前の世論調査では賛否が拮抗(きっこう)していた。だが、年金支出削減などの長期間にわたる緊縮策への不満は根強く、一段の負担を求められた国民が反対を選択することは予想できた。

 一刻も早い正常化には再建策の受け入れが必要で、残念な結果である。

 反対を訴えていたチプラス首相は勝利宣言し、支援再開に向けて「EU側と協議を始める」と国民に説明した。

 首相は、今回の結果を背景に、EUから再建策の譲歩を引き出す狙いだが、思惑通りに進むとは思えない。むしろ、EUの反発を招き、交渉は難しさを増すだろう。ギリシャ国民の選択には首をかしげざるを得ない。

 EUは先月、チプラス首相が国民投票の実施を打ち出したことで不信感を募らせ、支援協議を打ち切った。EU内には緊縮策を受け入れて回復に向かっている国もあることから、今回の結果でギリシャへの態度を軟化させるとは考えにくい。

 ギリシャがこれまで通りの強硬姿勢で協議に臨む限り、金融支援を受けられない可能性が高い。

 銀行を再開できず、預金引き出しを制限する資本規制が続くと、国内経済のまひが長期化する。経済活動が縮んでいく「負のスパイラル」に陥る事態は避けたい。調達できないユーロの代わりに、政府が独自通貨を発行するようになって、ユーロ圏離脱が現実味を帯びてくるからだ。

 問題は、ギリシャの財政破綻をどう回避するかだ。

 ギリシャは、国際通貨基金(IMF)から融資された16億ユーロ(約2200億円)の返済が「延滞」状態にある。今月も国債などを償還しなければならない。EUからの緊急支援がなければ、債務不履行(デフォルト)は避けられない見通しだ。

 混迷がさらに深まれば、財政基盤が弱いイタリアなど南欧諸国に影響は及び、世界経済が混乱する恐れもある。そうなれば、EUの求心力低下を招き、ユーロの信認にも陰りが出る。

 ギリシャ財政危機の解決に向けて、ユーロ圏首脳や財務相はきょう、会議を開いて意見交換する。ギリシャのデフォルト回避や国内の資本規制解消、周辺諸国への影響封じ込めについて、EUがどういった対策を打ち出すのか、注視したい。

 日本にも影響は及んでいる。きのうの日経平均株価は一時500円以上も下落するなど、株式市場は大きな値動きを見せた。日本政府には、機動的に対応できるよう万全の対策を求めたい。

 危機を世界に拡大させないために、日米欧の先進7カ国(G7)が連携を密にし、世界の金融市場の動向に細心の注意を払って、不測の事態に備えてもらいたい。