中国・上海市場の株価が急落し、東京市場など各国の市場が乱高下する展開となっている。
 きのうは反発したものの、世界第2位の経済大国だけに、バブル相場がはじけて混乱が広がると動揺するのもやむを得ないだろう。

 しかし、中国株の急落は、急上昇した反動が出た結果といえる。

 急落した背景には、中国の株式市場が他の国とは違う特異な体質を持っているという事情がある。国際経済への影響力が大きい中国には、大国にふさわしい市場に改めるよう強く求めたい。

 中国株が過熱したのは、金融当局が昨年11月、2年4カ月ぶりに利下げを実施したことがきっかけだった。

 国内の不動産不況の悪化などで経済の先行き不透明感が強まり、金融緩和により、消費の底上げや企業の資金繰りをよくしようとした。

 その後も緩和策を繰り返し、あふれたお金が株式市場に大量に流れ込み、株価が上昇。今年の年初から先月中旬までの上昇率は60%近くに達し、前年の約2・5倍に値を上げた。

 そこで熱を冷まそうと、当局が信用取引の規制強化の動きを見せ、市場でもバブルへの警戒感が拡大。一転して下降線をたどった。

 今回の事態は、政府が介入する「官製相場」の危うさが露呈したということだろう。自律性を欠く市場では、世界からの信用も損なわれる。

 機関投資家が少なく、個人投資家が大多数を占めていることも、中国市場の特異さの一つだ。未熟な投資家が多いため、相場が一方向に振れやすく、不安定になりやすい。投資家を育て、成熟させる方策が求められる。

 急落を受けて、上場企業の約半数が自社株を取引停止にしているのも問題である。これでは株を売りたくても売れず、投資家の不満や不安が高まるばかりだ。制度を改めるべきである。

 政府は株価の下支え策を次々と打ち出し、きのうは上昇に転じたが、効果が続くかどうかは見通せない。政府に対する信頼が大きく揺らいでいるからだ。

 短期的な対策も大切だが、より重要なのは、自律性の高い金融システムを構築するなど、長期的な視点に立った取り組みである。

 日本経済への影響は限定的と見られているが、警戒を怠ってはならない。

 中国の個人消費が冷え込めば、中国内で事業展開する企業や部品などを輸出するメーカーに影響が出る恐れがある。訪日客が減少すれば、観光産業や「爆買い」の恩恵を受けている小売業にとって痛手となる。

 ギリシャ財政危機の解決の糸口も見えておらず、世界経済は大きな不安要因に直面している。日本政府は状況を慎重に見極め、いかなる事態にも対応できるようにしておく必要がある。