欧州連合(EU)が、財政危機にあるギリシャへの支援交渉を再開することで合意した。ギリシャは土壇場でユーロ圏からの離脱を回避した。
 
 EU域内の安定と国際的な金融秩序の維持につながる合意を歓迎したい。

 EUはユーロ圏財務相会合に続く首脳会議で、ギリシャ危機への対応を協議した。

 ギリシャが提出した財政再建策への評価と支援の在り方をめぐり、協議は難航した。EUが設定した12日の期限を越えたが、合意にこぎつけた首脳らの努力を評価したい。

 再建策には、早期退職の制限などで年金支出を削減するほか、飲食店などの付加価値税を一部離島を除き、現在の13%から23%にアップすることが盛り込まれた。法人税も26%から28%に引き上げる。
 
 これらはEU側の求めをほぼ受け入れたものだ。問題となったのは、ギリシャの実行力である。これまでの経緯や反EU派を抱えることから、EUがギリシャへの不信感を拭えないのは無理もない。

 EUはギリシャに対し、付加価値税率や年金制度の見直しに関し、15日までに法制化するよう要求した。さらに、最大で500億ユーロ(約6兆8千億円)程度のギリシャの国家資産を第三者基金に移転し、債務返済に活用するよう求めた。

 首脳会議では、財務相会議がまとめた文書を基に、総額最大860億ユーロ(約11兆7千億円)に上る3年間の融資が検討された。

 支援がなければ、ギリシャはデフォルト(債務不履行)に陥り、ユーロ圏やEUからの離脱を迫られただろう。

 ギリシャでは預金の引き出しが制限されるなど、国民生活に支障が出ている。

 ギリシャは難色を示したが、最終的に要求を受け入れたのは賢明な判断だ。EUによる救済を再生へのラストチャンスと受け止めるべきだ。

 法制化などの約束を着実に履行し、EUの配慮に応えなければならない。

 一連の会議で、フランスが支援再開に積極的だったのに対し、ドイツが厳しい態度で臨んだことは理解できる。

 これまでEU側はギリシャを2回支援し、2回目の支援では債務削減も実施した。さらに削減すればドイツは最大の負担を強いられる。メルケル首相は容易に債務削減を認めるわけにはいかなかった。

 ギリシャのチプラス首相は緊縮策と引き換えに、EUなどから、自国の債務削減の確約を取り付けたと強調した。

 ギリシャは20日に欧州中央銀行(ECB)が保有する国債35億ユーロ(約4800億円)の償還も控えている。EU側は、短期のつなぎ融資も検討する。

 ギリシャ危機を受け、国際金融市場では、株式などが乱高下する動きが見られた。

 それだけに、日本政府は合意の着実な履行への期待を表明した。今後もギリシャ問題を注視しながら、国際金融市場の安定に寄与したい。