歴史的な決断を実のあるものにし、世界の平和と繁栄につなげてもらいたい。

 国交回復で合意した米国とキューバが、双方の大使館を20日に再開させることを確認した。1959年にキューバ革命が起き、61年に国交を断絶してから、実に54年ぶりの歩み寄りである。

 ただ、これで全てがうまくいくと決まったわけではない。両国の間には、越えなければならない壁が残っている。互いに違いを認め合いながら一つ一つ乗り越え、関係改善が進むよう期待したい。

 米国のオバマ大統領とキューバのカストロ国家評議会議長が、国交正常化交渉を始めると表明したのは昨年の12月だった。これを受けて今年1月から交渉に入り、4月に59年ぶりの首脳会談が実現。5月には米国がテロ支援国家指定を解除するなど、協議は順調に進展してきた。

 背景には、両首脳の利害が一致したという事情がある。

 残り任期が約1年半となり政治的遺産(レガシー)が欲しいオバマ氏にとって、「裏庭」に当たるキューバとの和解は誇示できる分かりやすい成果だ。キューバと経済的・軍事的な協力関係を強めようとしているロシア、中国の動きを抑止することにもなる。

 一方、キューバには、米国の経済制裁解除により外国から投資を呼び込め、危機的状況の経済を活性化できるとの期待がある。

 問題は、米国が経済制裁を全面解除できるかどうかだ。キューバへの渡航制限や金融制裁は既に緩和しているが、「対キューバ禁輸強化法」など制裁の中心となる厳しい措置は続けられている。

 解除するには議会の承認が必要だが、多数を占める野党・共和党は対キューバ強硬派が多く、難航が予想される。

 来年の大統領選をにらんだ駆け引きの面もあるのだろうが、共和党には大局を見据えた対応を求めたい。オバマ氏の指導力も問われよう。

 キューバの人権状況の改善も大きな課題だ。キューバは政治犯53人を釈放したものの、今も反体制活動家ら60人を拘束しているとされる。

 人権状況を棚上げにしてはいけない。米共和党が問題視しているのも、この点だ。オバマ氏は粘り強く改善を求めるべきである。

 さらに難航しそうなのは、キューバ島東部にあるグアンタナモ米海軍基地の扱いだ。

 キューバの返還・撤廃要求を米国は拒否している。社会主義体制の堅持を最優先とするキューバは米国の政治的介入を警戒しており、島内に存在する基地の返還は譲れない要求に違いない。

 半世紀以上にわたって反目してきた両国だけに、双方に不信感があるのは当然だろう。解きほぐすには、地道な対話を続けて信頼関係を醸成するしかない。

 「東西冷戦の遺物」を、和解と友好の象徴に変えることができるかどうか。世界が注目している。