イラン核問題をめぐって、欧米など6カ国とイランが、包括的解決に向けて最終合意した。

 核拡散に歯止めをかけるとともに、イランに国際的孤立からの脱却を促す歴史的な成果といえる。

 1979年のイラン革命以来、敵対してきた米国とイランの関係改善は中東の安定にも寄与する。着実に合意を履行してもらいたい。

 合意した「包括的共同行動計画」は、イランの核開発活動を徹底した監視下に置き、欧米の経済制裁を解除することが柱だ。

 イランは、ウランを濃縮するための遠心分離機の設置数や濃縮ウランの保有量の大幅な制限を受け入れた。欧米は、平和利用のための限定的な濃縮を認める一方で、国際原子力機関(IAEA)による査察の強化を確保した。

 イランのウラン濃縮能力は、核兵器に使用可能な水準まであと一歩に迫っている。このまま水面下で無制限に核開発が進むより、限定的な濃縮を認めてでも透明性を確保したのは現実的な選択だ。

 欧米は、IAEAが合意の履行を確認すれば、国連や欧州連合、米国の制裁を停止・解除するとしている。

 2002年に核開発疑惑が発覚して以来の深刻な対立を、対話によって乗り越えたことには大きな意義がある。

 だが、問題は少なくない。

 イランと敵対するイスラエルのネタニヤフ首相は、合意について「歴史的な間違いだ」と即座に批判した。合意では、イラン国内に関連施設が残り、核開発計画を完全にはつぶせないためである。

 イラン国内にある欧米やIAEAへの根強い不信感も気掛かりだ。強硬論を掲げる保守派が台頭すれば、合意が崩壊し、イランが再び核開発を拡大させる懸念は拭い切れない。サウジアラビアなどアラブ諸国が対抗して核開発に走る可能性もある。

 まず、イランは合意事項を守ることで、信頼回復に努めなければならない。

 米国内にも課題がある。議会で多数を占める共和党は合意に懐疑的だ。議会承認を得るまでは紆余曲折も予想され、楽観はできない。オバマ大統領は「信頼ではなく検証に基盤を置いている」と述べ、慎重に取り組む姿勢だ。

 米国とイランには過激派組織「イスラム国」への対処など、共通する問題がある。今回の合意をテロ抑止など次のステップにつなげたい。

 日本にとっても、経済や安全保障の面で、合意のメリットは少なくない。

 かつて原油輸入量の約3割をイランから調達するなど、日本は良好な関係を築いてきた。豊富な石油資源に恵まれたイランとの経済関係改善が期待できる。

 日本向け原油の8割以上が通過するホルムズ海峡が、機雷で封鎖される懸念も低くなる。国際社会とともに、イランの合意順守を後押しし、世界の安定に貢献したい。