政府が、2016年度予算の概算要求基準を閣議了解した。景気の動向に応じて柔軟な予算編成を行うため、3年続けて歳出総額の上限は設けなかった。

 各省庁は来月末までに財務省に予算要求するが、一般会計の要求総額は2年連続で100兆円規模に膨らむとみられる。

 来年の参院選を意識する与党から歳出拡大の圧力が高まりそうだが、財政再建の行方が心配である。無駄な予算要求は厳に慎んでもらいたい。

 経済低迷から抜け出せない地方のてこ入れや、国民生活の向上など、真に必要な施策ヘの支援を手厚くすべきだ。

 目玉となるのは、政府の新たな成長戦略や経済財政運営の指針「骨太方針」に沿う事業に充てる4兆円程度の特別枠である。

 各省庁が、公共事業費など裁量的経費の要求可能額を15年度当初予算より10%削減することなどで、財源を確保する。削減後の額の30%分までを特別枠で要求できる。

 また、人件費など義務的経費の要求額を15年度予算に比べて削減した場合にも、特別枠で上乗せできる。

 各省庁は、前例踏襲で時代遅れになった施策の整理などで、歳出を削減してほしい。

 義務的経費も、公的サービスへの民間参入で抑えるなどの工夫を凝らす必要がある。

 年金や医療など社会保障費は、高齢化に伴う増加分として、15年度当初予算額の30兆2千億円から6700億円分の増額要求を認めた。

 財務省は高齢化を要因とした増加額を年5千億円程度に抑えるため、予算編成の過程で圧縮を目指す。査定に当たっては社会的弱者への配慮を求めたい。

 気になるのは、政府が16年度予算で創設する地方創生関連の新型交付金が、内閣府の概算要求で1千億円規模にとどまりそうなことだ。

 全国知事会は、14年度補正予算で計上された地方創生先行型交付金の1700億円を大幅に上回る規模を要望しただけに、物足りない。

 新型交付金は、人口減少対策の5カ年計画「地方版総合戦略」を作成した都道府県と市区町村に支給する。複数の自治体や官民が共同で取り組み、他の自治体の参考となる「先駆的事例」を中心に配分される。

 努力した自治体の意欲に、水を差すような予算措置になってはならない。

 政府が目指す国と地方の基礎的財政収支の20年度の黒字化も達成できるか、懸念される。内閣府の中長期財政試算では、20年度の基礎的財政収支は約6兆2千億円の赤字になる。

 企業収益の拡大による税収の上振れなどを織り込んだ結果、今年2月の試算より約3兆2千億円改善するが、20年度は黒字化に程遠い。

 当てにならない景気回復の効果を見込んで歳出を膨らませ、孫子の代に大きなつけを回すことは避けたい。