徳島県内の17市町村が、国の地方創生交付金を活用した独自のプレミアム付き商品券を発行する。商品券には一過性で効果が小さいとの批判や懸念も拭えない。巨費を投じる以上、単なるばらまきに終わらせてはならない。

 プレミアム商品券は、4月に県が24市町村と共同で販売したのに続き、先月から市町村独自の発行が始まっている。額面1万2千円の券を1万円で販売する自治体がほとんどだが、美馬市と神山町は30%の上乗せをする。

 購入額以上の買い物ができるので住民に喜ばれる。使用を自治体内に限ることで、地域の消費拡大が図れる。導入した自治体は、そんな期待を抱いているのだろう。

 だが、商品券の先例として、1999年の「地域振興券」と2009年の「定額給付金」があるが、経済の波及効果は限定的だった。

 上勝町では先月1日に、1万円で割増率20%の商品券を2050セット発売したが、半分ほどが売れ残っている。店舗の数や種類が限られた自治体では、経済効果は小さいだろう。一方、都市部では、商品券の多くが県外資本の大型店で使われる懸念もある。

 県が発行した際は、窓口に長蛇の列ができ、購入できなかった人から苦情が相次いだ。税金を投入したのに一部の人しか買えないのは不公平だ、との批判はもっともだ。

 プレミアム商品券とは別に、11市町村が生活支援のための商品券を発行する。阿波市と美波町は、子ども1人当たり1万~3万円の商品券を支給。小松島市は15歳未満と65歳以上の住民に3千円の商品券を無料配布している。

 子育て世帯などの負担軽減と消費拡大の一石二鳥を狙ったのだろうが、一時的な支援にすぎず、経済効果も限定的ではないか。

 各自治体は、なぜ横並びで商品券を導入したのか。

 商品券の原資となった2500億円の地域消費喚起・生活支援型交付金は、昨年度の補正予算に盛り込まれたものだ。使途は各自治体で決められることになっていた。

 しかし、実際は国がメニューを示すなど、使い道が縛られていた印象もある。しかも、自治体には国に申請するまでに十分に検討する時間が与えられなかった。

 安倍晋三首相は、地方創生の予算について「国の示す枠にはめるような使用やばらまき型の投資は行わない」と断言した。だが、今回の商品券発行は、その言葉に反している。交付金の制度設計に欠陥があったのではないか。

 効果を高めるため、自治体は購入条件などに工夫を凝らす必要がある。沖縄県では、バスやモノレールを一定回数利用した人にプレミアム商品券を販売する。消費拡大と同時に、公共交通機関の利用促進を図るアイデアだ。

 経済効果を一過性に終わらせては意味がない。消費を持続させる手だてにも知恵を絞るべきである。