来春卒業予定の大学生を対象にした企業の採用面接が今月、解禁され、選考活動が本格化した。だが、今年から変更された活動日程に縛られずに採用活動を行い、内定を出す企業も相次いでいる。

 日程の変更は、就職活動が早期化するあまり、学業に支障が出ているのを解消するためのものだ。これでは何のための改善か分からない。

 企業も学生も、ルールを守らなければならない。

 新しい日程は、政府の要請を受けて経済界が見直したものだ。経団連が会員企業に指針を示し、面接などの選考活動開始を4年生の4月から4カ月遅らせて8月とした。

 選考は「短期決戦」の様相である。優秀な人材獲得を目指し、徳島県内でも採用試験が始まっている。

 懸念されるのは、新しい日程が地方の中小企業にとって、不利に働くのではないかということだ。

 県内主要50社を対象にした徳島新聞のアンケートでは、必要な人員確保に「プラス」と答えたのはゼロで、「マイナス」は14社に上った。

 その理由は「学生を見極める時間が少なくなる」や「説明会や選考試験の日程が他社と重なる」などだ。さらに、「大手の採用活動が遅くなり、内定辞退者が増えそう」との不安もある。

 地場産業にとって、優秀な人材の確保は企業の生命線である。各企業は、その魅力を訴えるとともに、学生の性格や能力を十分吟味し、人材を獲得したい。

 一方、徳島出身の学生は、Uターン就職の希望が依然として強いようだ。県内で行われたガイダンスには熱心な学生が参加した。

 地場企業は、地の利を生かすなどして、人材獲得につなげたい。

 景気が回復基調にある中、採用活動は売り手市場となっている。そのため、経団連に加盟していない中小や外資系企業の多くは、早い時期から内定を出しているようだ。民間調査では、先月1日時点で、学生のほぼ半数が内定を得たという。

 だが、その過程で、内定を出す代わりに、学生たちに就職活動の終了を求める「オワハラ(就活終われハラスメント)」が行われるなどの問題も起きている。行き過ぎた囲い込み行為は、法的に無効であることを企業はしっかりと認識すべきだ。

 就職活動が事実上、長期化する懸念も拭えない。中小企業の内定を得ても、大企業の選考を目指して活動を続けるケースも出そうだ。

 さらに、大学3年時に参加するインターンシップ(就業体験)が、本来の社会貢献活動ではなく、採用活動の一環として利用されているとの見方もある。採用活動の抜け道にならないように、留意する必要があろう。

 新しい日程は課題が山積しているようだ。学生と企業双方の利益になるよう改善し、定着を図りたい。