知人に未公開株の購入を持ち掛け、金銭トラブルになっていると週刊誌で報じられた武藤貴也衆院議員が、所属していた自民党に離党届を提出し、受理された。

 報道の内容が事実だとすれば、国会議員にあるまじき行為だ。離党だけで済まされる問題ではない。

 武藤氏は週刊誌の記事について、自身のフェイスブックに「一方的かつ事実と異なる」「恣意(しい)的に書かれており、非常に心外だ」とするコメントを掲載した。

 そうであるのなら、事実関係をきちんと説明すべきだ。それが国民から負託を受けた議員としての責務である。

 トラブルを報じた「週刊文春」によると、武藤氏は昨年、ソフトウエア会社の未公開株を「国会議員枠で買える」と知人に持ち掛けた。

 知人が投資家に呼び掛け、23人が計約4千万円を武藤氏の政策秘書の口座に振り込んだが、株は購入されず、今も出資金の一部が戻っていないという。

 未公開株をめぐっては、購入を持ち掛けてお金をだまし取る詐欺事件などが後を絶たない。

 1988年には、値上がりが確実な未公開株が政財官界に譲渡され、贈収賄罪などで12人が起訴された「リクルート事件」が起きた。

 こうしたことから、未公開株に手を出してはならないというのが、政治家の間の常識だろう。

 そもそも「国会議員枠」などというものがあるのか。もしあるのなら不当な特権であり、許されないことだ。「枠」の真偽はともかく、それを利用しようとした武藤氏は、政治家の資質に著しく欠けると言わざるを得ない。

 武藤氏は道義的、政治的責任はもちろん、刑事責任が問われる可能性もある。

 まず自らが厳しく身を律し、進退を決めるべきだ。

 国会は本人の対応を待つのではなく、政治倫理審査会で説明させるべきである。

 自民党も責任を免れない。

 武藤氏は、安全保障関連法案に反対する学生らのデモを「『戦争に行きたくない』という極端な利己的考え」とツイッターで指摘し、批判された。報道圧力発言が出て問題となった6月の党若手議員の勉強会にも出席している。

 自民党の公募で選ばれて衆院選候補となり、2012年に初当選したが、公認の判断は妥当だったのか。当選後の議員教育は適切に行っていたのか。

 考えなければならないのは、武藤氏が安倍晋三首相を支持する「安倍チルドレン」の一人だということだ。きのうの参院特別委員会の集中審議で発言が追及された礒崎陽輔首相補佐官も、首相の側近である。

 問題が次々と噴出するのは、政権運営に緩みがあるからだろう。いずれも甘い対応で幕引きを図ろうとすれば、厳しいしっぺ返しを受けることになる。