台風18号の影響により、関東・東北で記録的な豪雨となった。

 茨城県や宮城県の河川で堤防が決壊し、死者も出ている。亡くなった方のご冥福を祈りたい。

 川の氾濫や土砂災害も各地で発生し、大勢の住民が孤立や避難を余儀なくされている。警察や消防、自衛隊は、行方不明者の捜索などに全力を挙げてほしい。

 特に被害が甚大だったのは、鬼怒川の堤防が決壊した茨城県常総市だ。濁流が住宅街を襲い、家や車を押し流した。一帯は泥水に覆われ、道路や農地、宅地の境界が分からない状態となっている。

 被災地では、たくさんの住民が体育館などに避難している。高齢者や子どもの体調が案じられる。医療態勢の充実が必要だ。食料や日用品の確保も急務である。

 今回の豪雨は、関東から東北上空に発生した「線状降水帯」と呼ばれる特殊な雨雲の連なりがもたらした。降り始めからの総雨量は、鬼怒川上流の栃木県で600ミリを超えた。茨城県や宮城県でも記録的な大雨が降った。

 気象庁は3県に「直ちに身を守る行動を求める」特別警報を発表した。

 茨城県では、堤防決壊の5時間前に特別警報が発令され、常総市は、その5時間以上前、未明の時間帯に現場周辺に避難指示を出した。市は「防災無線で周知し、できる限り広報車も回った」と説明している。

 それでも、大勢の住民が取り残されて救助を待つことになったのはなぜか。夜が明けるのを待つうちに、道路の冠水などで避難が困難になってしまったことが考えられる。

 専門家は「近年、大洪水の人的被害は少なく、危険に対する感覚が鈍くなっている可能性がある」と指摘する。

 東日本大震災以降、地震や津波に対する警戒は高まっている。だが、洪水や土石流、大雪などさまざまな災害から身を守るためには、日頃の注意を怠らず、情報を十分にチェックすることが重要だ。

 自衛隊などによる被災者救出の模様は、早期避難の大切さを見せつけた。障害者やお年寄りをどう守るのか。地域ぐるみの取り組みが必要だ。

 徳島県民にとっても人ごとではない。

 県内には多くの河川があり、巨大な台風や記録的な豪雨によって、各地で水害が発生する恐れがある。

 那賀川流域では昨年8月と今年7月、2年連続で大規模な浸水被害に見舞われた。吉野川水系には無堤地域があり、排水路や小河川があふれる内水被害も少なくない。治水対策はまだまだ不十分だ。

 国や県など関係機関は、水害防止に向けて、堤防の強化や築堤を着実に進める必要がある。

 本格的な台風シーズンは始まったばかりだ。家族や職場で非常時の対応をしっかり話し合って、心構えを新たにしたい。