政治団体「日本歯科医師連盟」(日歯連)が再び、「政治とカネ」をめぐる問題を起こした。11年前のヤミ献金事件の反省はみえず、倫理観のなさにはあきれるばかりだ。

 日歯連の前会長ら3人が、政治資金規正法違反容疑で東京地検特捜部に逮捕された。

 組織内から擁立した石井みどり参院議員(自民)の後援団体に、法で定められた上限額を超す寄付をして、収支報告書に虚偽の記載をした疑いが持たれている。3人は容疑を否認しているとみられる。

 寄付の方法は、西村正美参院議員(民主)の後援団体にいったんカネを納め、そこから石井氏の団体に移したとされる。迂回(うかい)献金といわれる手法だ。

 限度額を上回る寄付を隠す意図があるとみられ、極めて悪質である。ほかに迂回献金はなかったのか。組織的な関与の有無などを含めて、東京地検は徹底的に捜査してもらいたい。

 日歯連は、2004年に自民党の旧橋本派に対する1億円のヤミ献金が発覚し、当時の会長らが逮捕されている。これを契機に、無制限だった政治団体間の寄付に上限枠を設ける法改正がなされた。

 日歯連の行為に絡んで強化された法律を再び破ったことは、厳しく指弾されるべきだ。法軽視の体質を改めなければならない。

 逮捕を受けて、石井氏と西村氏は「今後の捜査の推移を見守りたい」とのコメントを出した。自らの後援団体を舞台にした事件であるにもかかわらず、人ごとのような対応には不信感が募る。率先して事実解明を進め、結果をきちんと説明すべきだ。

 自民党は「捜査を見守りたい」とし、民主党は具体的な言及を避けた。事件と距離を置こうとするかのような姿勢は不誠実である。

 石井氏への支援をめぐっては、前回の参院選前に日歯連が巨額の支出をしていたことも明らかになった。迂回献金を含む約4億円で、ポスター作製費や集会に参加する会員の旅費などである。

 石井氏が初当選した07年の参院選前にも4億円程度を支出したという。

 これでは、カネまみれではないか。そうまでして、利益代弁者の議員を国会に送ることに血道を上げなければならないのか。

 政治資金規正法は、政治活動の公正と公明を確保するために設けられたものだ。抜け道の多いザル法ともいわれ、「政治とカネ」の問題が出る度に改正が加えられてきた。

 だが、事件や不祥事は後を絶たない。この1年に限っても、小渕優子前経済産業相の不明朗な会計処理や、閣僚らの政党支部への不適切な寄付などが明らかになっている。

 今回の事件も氷山の一角ではないか、との疑念も広がる。度重なる「政治とカネ」の問題に、国民の政治不信は高まるばかりである。

 国会は、企業・団体献金の全面禁止を検討するべきだ。