内戦状態のシリアなどから欧州に押し寄せる難民問題が、深刻さを増している。

 欧州連合(EU)は難民の受け入れに努めているが、対応に限界があるのは明らかだ。日本など国際社会が積極的に支援する必要がある。

 大量の難民の発生は、シリア内戦と過激派組織「イスラム国」の台頭が主な要因だ。

 難民問題の根本的な解決には、シリアの政情安定化が不可欠である。だが、反体制派を弾圧してきたアサド政権をめぐる米国とロシアの対立は根深い。

 ロシアは米国中心の「イスラム国」掃討作戦の有志連合に、アサド政権も加えて大連合を組むべきだと主張する。一方、米国はアサド政権の退陣を求める立場を崩さない。

 そんな状況で、ロシアがシリア空爆に踏み切ったのは衝撃的だった。ロシアは「イスラム国」を目標に攻撃したと主張している。プーチン大統領は「(アサド政権から)要請があり、テロ組織と戦う」と述べた。

 これに対し米国は、空爆を反体制派を狙った「無差別な軍事作戦だ」と批判した。

 米ロの軍用機の偶発的衝突が起きる事態は避けなければならない。両国は利害を捨て、協調態勢を築くべきだ。

 今年に入って、既に40万人を超えた難民に悩むEUは、内相理事会を開き、難民12万人の受け入れを各国で分担する措置を賛成多数で決めた。

 採決では、チェコ、ハンガリーなどが反対し、フィンランドが棄権した。受け入れの義務的な割り当てを訴えた西欧と、拒否する東欧の間の溝は想像以上に深い。

 EUが今後1年間に分担するのは、12万人のうち最大6万6千人だ。先に決めた4万人と合わせ、当初の分担は最大10万6千人となる。

 いかに結束して対応できるかが、分担策の成否を握る。

 EUは、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)や世界食糧計画(WFP)などに少なくとも10億ユーロ(約1345億円)を追加拠出する。

 EUの負担軽減が急務だ。米国は、世界から受け入れる難民の人数を段階的に増やして、2017会計年度にはシリア難民を含め10万人の受け入れを目指す。

 安倍晋三首相は国連で演説し、難民対策として約8億1千万ドル(約970億円)の支援を約束した。中東やアフリカの安定化にも約7億5千万ドル(約900億円)を拠出する。シリアや紛争被害国の復興支援などを想定している。

 安倍首相は「経済支援、教育、保健医療での協力を積極的に行い、根本的解決に大きな責任を果たしていく」と述べた。

 日本は経済支援にとどまらず、難民も受け入れたい。昨年は5千件の難民認定の申請があり、認定は11件と、あまりに厳しすぎる。

 難民に厳しかったオーストラリアは、受け入れを打ち出している。日本も難民政策の転換を検討すべきだ。