子宮頸(けい)がんワクチンの接種後に、全身が痛む副作用などが報告された問題で、少なくとも186人が回復していないとする追跡調査結果を厚生労働省が公表した。

 これを受けて、厚労省の専門部会は、接種勧奨の中止を継続することを決めた。

 ワクチンと副作用症状の因果関係の解明は進んでおらず、国民の間には不安が広がっている。中止の継続は当然だろう。厚労省は、原因究明と副作用による被害者の救済に全力を挙げるべきだ。

 子宮頸がんには国内で年間約1万人がかかり、約3千人が亡くなっている。ワクチンは、性交渉などで感染するヒトパピローマウイルス(HPV)の感染予防を目的としたものである。

 2010年度半ばから国の助成が始まり、徳島県の全市町村でも無料接種がスタートした。13年4月、小学6年生から高校1年生の女子に接種の努力義務が課される定期接種となった。だが、副作用の報告が相次ぎ、6月には接種勧奨を中止している。昨年11月までの接種者は約338万人に上る。

 追跡調査では、副作用を訴えた2584人のうち1739人の経過を確認した。未回復の186人の症状は、頭痛や倦怠(けんたい)感、筋力低下などで、そのうち135人は通学や通勤に支障が出ていることも明らかになった。

 国が承認したワクチンの接種で健康被害に苦しむ女性が多くいることを、厚労省は重く受け止めるべきだ。

 何よりも、被害者の救済を急がなければならない。

 予防接種法では、定期接種で健康被害が生じた場合、医療費の自己負担分が支給され、一定額の医療手当も渡される。だが、定期接種化以前の被害の場合は、入院相当のケースしか医療費は支給されず、手当もない。

 今回の健康被害の大半は定期接種化以前であることから、厚労省は救済範囲を拡大し、定期接種と同水準の支援にすることを先月、決めた。

 同じワクチンであり、接種時期によって救済内容に差をつけてはならないのは当然である。

 定期接種化前の被害について、徳島県内では既に三好市が独自の支援を始めている。通院の医療費のほか、四国外の医療機関に通院する場合は交通費や宿泊費を支給する。

 県内では十数人の被害が報告されており、被害者に寄り添った手厚い支援を、他の市町村にも広げたい。

 治療法の確立も大切だ。厚労省は今後、副作用の原因究明や治療法の研究などを進める。症状発生のメカニズムを解明し、被害者救済につなげてもらいたい。

 子宮頸がんの早期発見、早期治療には、がん検診が欠かせないが、日本の受診率は38%と低く、欧米の2分の1しかない。

 がん検診の受診率向上へ、行政や医療機関は啓発に一層力を入れるべきである。