民法の夫婦別姓を認めない規定と、離婚後の再婚を女性にだけ6カ月間禁止する規定について、違憲かどうか争われた二つの訴訟で、最高裁大法廷が来月、初の憲法判断を示す見通しとなった。 両規定は明治時代から引き継がれてきたが、先進国でいまだに設けているのは日本だけとされ、国内外から「時代遅れの差別規定」との批判が強まっている。

 女性の社会進出が広がり、家族の在り方が多様になっている中、時代に合わなくなった規定を見直すのは当然である。社会の実情に沿った判断となるよう期待したい。

 夫婦同姓は民法750条が定め、夫婦は結婚前のどちらかの姓を名乗るよう求めている。どちらにするか自由とはいえ、妻が改姓する場合が9割以上に上るのが実情だ。

 原告は「姓の変更の強制で権利侵害。多くの女性が職業上の不都合に直面するなど、精神的苦痛を受けている」とし、個人の尊厳と両性の平等を定めた憲法に違反すると主張している。

 結婚後も旧姓で仕事を続けたいと願う女性は少なくない。二つの姓を使い分ける人も増えているが、旧姓が認められないケースもある。改姓を嫌い、法律上の結婚ではない事実婚を選べば、共同の親権者になれないといった制約を受けることになる。

 こうした現状から、姓を変えず別々に名乗ることも選べる「選択的夫婦別姓制度」の導入を求める声が高まっているのは理解できる。

 一方、再婚禁止期間は民法733条が規定している。離婚後に生まれた子の父親をめぐって混乱しないようにというのが目的だ。

 これに対して、原告は「女性の婚姻の自由に制限を加えており、法の下の平等に反している」と訴えた。

 原告が主張するように、DNA鑑定の技術が発達した現代では、再婚禁止期間を設ける根拠は薄れたといえよう。女性だけが不利益を受けることの是非が問われなければならない。

 いずれの規定も日本では当たり前のようだが、世界では撤廃されるなどして、ほとんど残っていない。中でも夫婦同姓に限っているのは、衆院調査局の資料によると日本の他、ジャマイカと、インドのヒンズー教徒くらいという。

 ただ、日本も見直す機会はあった。1996年に法制審議会が、選択的夫婦別姓の導入や再婚禁止期間の短縮を盛り込んだ法改正案を答申したときだ。しかし、自民党の保守系議員らの強い反対で国会提出には至らなかった。

 両規定は国連の女性差別撤廃委員会からも、是正するよう再三勧告されている。それを放置してきた政府と国会は、厳しく反省しなければならない。

 「女性の活躍推進」を掲げる安倍政権はもちろん、国権の最高機関である国会は、司法の判断を待つことなく、見直しの議論を始めるべきだ。