経団連が、大学生の面接など選考活動の解禁時期を現行の8月から2カ月程度前倒しする方針を打ち出した。

 今年、4月から8月に変更された選考活動の解禁については、徳島県内でも企業と学生双方から「活動期間が長期化する」などと、弊害を指摘する声が出た。2年連続の見直しには「朝令暮改」との批判もあるが、問題点が明らかになった以上、修正するのはやむを得ない。

 しわ寄せは特に中小企業に強く現れている。徳島新聞社が県内主要50社に実施した調査によると、採用活動日程の変更で「影響があった」とした企業が33社に上った。「応募エントリー数が減った」「大手企業に学生を取られ、内定辞退者が増えた」など、必要な人材確保ができないと嘆く声が相次いだ。

 選考開始が4月だった昨年までは、大手の採用がおおむね終わった後で中小企業が活動を本格化させていたため、大手と中小企業である程度のすみ分けができていた。しかし、スタートが8月になって活動時期が重なったことで、中小企業の内定を辞退して、後から内定を得た大手を選ぶ事例が増えたとみられる。

 景気の回復基調を受けて大手の採用意欲が高まり、人材争奪戦が過熱したことも中小企業に不利に働いた。予定した人員が確保できず、11月になっても採用活動を継続せざるを得ない企業が少なくないのは問題だ。

 徳島経済を支えているのは、県内企業の大半を占める中小零細である。地元には優れた技術力を持つ企業が数多くある。大手に比べて知名度や情報発信力が乏しい地域の企業に、もっと学生の目を向けてもらうための取り組みを進める必要がある。

 当初の狙いに反して活動期間が長期化したのも問題だ。選考解禁を4月から8月に変更したのは、学業に専念する時間を確保するためだった。

 だが、多くの学生が3年生の夏からインターンシップ(就業体験)を契機に就活態勢に入る。企業にとっても事実上の選考スタートとなっているのが実情で、解禁時期が4カ月後ろにずれたことで活動期間は長くなった。

 県内の学生や大学関係者からも「1年以上にわたって就活しなければならず、学業に支障が出た」との声が聞かれた。4年間の大学生活のうち、1年間を就活に振り回されるのは異常だと言わざるを得ない。

 経団連が提示した6月への選考解禁前倒しには、大学の授業に影響が出るとの懸念が指摘され、抜本的な解決策とはいえない。中小企業や学生には、元通りの4月に戻してほしいとの要望もある。

 学生本位の就活はどうあるべきか。まずは当事者である学生の声にしっかり耳を傾けなければならない。企業の人材確保策として根付いている新卒一括採用の見直しも含め、経済界はよりよい道を探ってもらいたい。