化石燃料に依存する社会、経済構造からの歴史的転換点となるよう期待したい。

 あす、パリで国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)が開幕する。全ての国が参加する2020年以降の地球温暖化対策の新たな枠組みづくりで、合意できるかが焦点だ。

 先進国、発展途上国を問わず利害が絡み合うが、エゴを捨てて結束すべき時である。世界の平均気温と海面の上昇を食い止めることは、国際社会の喫緊の課題なのだ。

 現在の枠組みの京都議定書は、温室効果ガスの排出削減を先進国だけに義務付けたが、米国は離脱し、中国やインドには削減義務がない。世界の3大排出国に削減義務が課されなければ、十分な効果を見込めないのは当然だ。

 新たな枠組みは、全ての国が自主的な削減目標を示し、達成に向けて取り組む方式を目指す。各国の温室効果ガス削減に、実効性を持たせる仕組みづくりにも注目したい。

 日本は温室ガスの排出量を30年までに13年比で26%削減する目標を掲げた。欧州連合(EU)は30年までに1990年比で40%削減する。米国は25年までに05年比で26~28%削減する。オバマ米大統領もパリでの合意に積極的だ。

 中国は、国内総生産(GDP)当たりの二酸化炭素排出量を30年までに05年比60~65%削減する。インドは30年までにGDP当たりの温室ガス排出量を05年比で33~35%削減するが、先日、目標を「全て達成する」との姿勢を明確にした。

 米国、中国、インドを含めた合意に道が開けたのは喜ぶべきだ。だが、ここに来て新たな問題も浮上した。

 新しい枠組みは、温暖化による深刻な被害を防ぐため、気温上昇を2度未満に抑える世界の実現を目指している。

 ところが、最近の条約事務局の分析では、146カ国の温室ガス削減目標を実行したとしても、今世紀末の世界の平均気温は2・7度上昇する恐れがある。参加国に一層の努力を促した形だ。会議では各国の目標が妥当かどうかが厳しく問われよう。

 削減効果を高めるためには日米、EUなど先進国による途上国の支援も不可欠だ。

 安倍晋三首相は、途上国の温暖化対策の支援を、現行の年約1兆円から20年には1兆3千億円に増やすことを明らかにした。地熱発電や防災インフラ、鉄道など日本の得意分野での貢献を念頭に置く。

 日本は20年度以降に全ての照明の供給を、電力消費量の少ないLEDにする方針を打ち出した。先進的な取り組みを会議でアピールするのもよいが、合意に向けて議論をリードする役割も求める。

 海面上昇で国土が水没の危機に直面する太平洋の島国などに、手厚い援助も必要だ。

 世界が、温室ガスをほとんど出さない再生可能エネルギーの導入を急ぐなどして大規模な気候変動を回避し、共に生き残れる方策を探りたい。