徳島市が市バスの路線を順次、民間に移譲し、2030年度までにバス事業を民営化する方針を打ち出した。地方のバス事業が衰退する中、高齢化、人口減少社会における公共交通の在り方を問い直す機会にしたい。

 市バスを民営化する背景には、深刻な経営難がある。

 1日当たりの利用者は1968年度に9万人を超えたが、それ以降、マイカーの普及などで減少に歯止めがかかっていない。84年度には3万人を切り、昨年度は1万418人にまで落ち込んだ。

 市交通局は総収入の約6割を一般会計からの繰入金で賄う状況が続いており、市の財政を圧迫している。公共交通を維持するためとはいえ、一般会計にこれほど依存するのは問題だろう。

 市も経営改善に取り組んできた。

 市バスは民間バスに比べて人件費が高く、2013年度の調査では、1キロ当たりの運行コストが566円と、民間の全国平均の397円の1・4倍にもなっている。

 このため、11年10月に20路線を再編し、郊外の2路線の運行を初めて徳島バスに委託した。不採算路線を市長部局に移し、民間委託することで赤字を削減するのが目的だ。民間委託した路線は現在、19のうち12を占めている。

 委託を進めるとともに、市は交通局の人員を削減するなどし、11~14年度に2億4500万円の赤字を減らした。

 それでも、経営難から抜け出せていない。昨年度も総収入7億8千万円のうち、一般会計からの繰入金は4億8千万円に上った。残された道は民営化しかなかったようだ。

 民営化すれば、市の財政負担は大きく軽減される。乗客の増加を目指す民間の企業努力により、利便性が向上することも期待できよう。

 民営化は時代の流れといえそうだ。鳴門市は12年度末までに5路線を徳島バスに移譲し、残りの3路線はタクシー会社に委託して「地域バス」を走らせている。小松島市は今年、バス事業を徳島バスに移譲し、民営にした。

 ただ、懸念もある。利益追求のため、これまで以上に不採算路線が切り捨てられたり、便数が減らされたりする恐れがあることだ。

 お年寄りや子どもにとって、バスは欠かせない移動手段である。高齢化が進み、運転免許証を返納する人も増えていく。そうした市民の足を守るという視点を忘れてはならない。

 昨年11月に施行された改正地域公共交通活性化再生法は、市町村が中心になって地域交通網の維持に向けた計画を策定するよう求めている。

 徳島市は民営化後も事業者と協定を結び、路線やダイヤについて協議する方針だ。

 どうすれば便利で乗りやすい公共交通にできるのか。採算性とどう両立させていくか。市民と議論を重ね、地域に適したモデルを構築する必要がある。