徳島県議会12月定例会が開会した。論戦の焦点となるのは、先に大筋合意した環太平洋連携協定(TPP)の発効に備えた県の対策である。

 飯泉嘉門知事は「国のTPP対策予算の最大限の活用はもとより、県版戦略の実践に向け、必要な施策を再構築し、万全の措置を講じていく」と述べた。

 農産品の輸入が増えるなど、農林水産業への影響を懸念する関係者は少なくない。半面、TPPの発効は県産品や県内企業が海外に打って出る好機でもあろう。

 県はおととい、県独自の「TPP対応基本戦略」案をまとめたが、対策に抜かりはないか、実効性を高めるためにはどうすればいいのか。地域の実情をよく知る議員ならではの提言など、実りのある議論を期待したい。

 県の基本戦略案は、打撃を受ける恐れがある農家への支援など「守り」と、6次産業化の推進といった「攻め」の施策で構成している。

 農林水産業の「守り」では小規模経営体に対する省力化機械の導入支援や、ブランド畜産物への経営転換の推進など、「攻め」ではブランド化・高付加価値化の推進や、それによる輸出の拡大などが盛り込まれた。

 一方、商工分野は産官学の共同研究による新商品・新技術の開発支援や、貿易関連情報の収集、提供、相談など、中小企業の海外展開を後押しする「攻め」が中心だ。

 いずれも、生産者や市町村、関係団体、企業の意見を聞き取ってまとめただけに、きめ細かな対策が多岐にわたって掲げられている。

 ただ、従来の施策と変わらなかったり、実現への道筋が示されていなかったりするものもみられる。

 現場からは「離農が増加し、中山間地の集落機能の低下が心配」「地産地消に取り組み、小規模経営でも収益を向上させたい」といった切実な声が県に寄せられている。

 不安を払拭(ふっしょく)し、将来に希望の持てる戦略となるよう、県と議会は知恵を絞ってもらいたい。

 12月補正予算案には、県内企業に就職する大学生らの奨学金返還の一部を肩代わりする奨学金返還支援基金の創設が盛り込まれた。製造業、情報サービス業、農林漁業の県内事業所に就職する理工、情報、農学分野などの学生を対象に、2019年度末までに計千人を支援する計画だ。

 若者の地元定着を図るには有効とみられるが、魅力のある雇用の場が少なければ効果は限定的になる。TPP対策を含め、事業所を元気にする方策が求められよう。

 このほか、補正予算案に計上された河川の浸水対策や、安倍政権が掲げた「1億総活躍社会」に対する県の取り組み、政府関係機関の地方移転、移住・交流人口の増加策など、議論すべき課題はたくさんある。

 代表・一般質問と委員会での審議に注目したい。