自民、公明両党の税制調査会が、2016年度税制改正大綱を了承した。

 法人税の実効税率を引き下げ、企業を支援する姿勢を鮮明にしたほか、地方への配慮を示したのが特徴である。

 いずれも、来夏の参院選をにらんだ措置とみられるが、安倍政権が目指す本格的な景気回復や、地方の再生につながるかは不透明だ。議論を重ねた大綱をどう生かすのか、政権の手腕が問われる。

 法人税の実効税率は、現在の32・11%から16年度に29・97%、18年度に29・74%へと2段階で引き下げる。

 当初、30%を切るのは17年度とする方向だったが、首相官邸の意向で前倒しした。

 減収分は外形標準課税を拡大し、赤字の企業の課税を強化することで補う。中小など一定規模を下回る企業には、負担軽減策を設けた。

 地方の経済を支える中小企業に配慮したのは当然だが、業績の良い大企業への優遇が過ぎるのではないか。

 実効税率を下げる狙いは、賃上げや設備投資の呼び水にすることである。安倍政権はこれまでも企業重視の政策を打ってきたが、賃金は大きく増えず、設備投資も活発になっていない。

 企業が潤っても、個人消費が上向かなければ経済の好循環は生まれない。内部留保をため込むのではなく、業績を賃金に反映させる責任があることを、企業は肝に銘じるべきだ。

 地方の関連では、地方交付税に充てる「地方法人税」の拡大を打ち出した。大都市に偏る税収の再配分を強化するもので、地方法人税は現行の約6千億円から、17年度には約1兆4千億円に増える。

 徳島県をはじめ各自治体は増収分を有効に使い、山積する地域の課題解決に役立ててもらいたい。

 自治体への寄付を企業に促す「企業版ふるさと納税」の創設や、東京23区から地方に本社機能を移転した企業に対する税優遇策の拡充も盛り込んだ。

 地方移転の税優遇は「地方創生」の目玉として本年度から始まったが、移転の動きは極めて鈍い。地方の人材育成やインフラ整備、国の一層の規制緩和が求められる。

 地方で増え続ける空き家対策では、相続3年目までに空き家や撤去後の土地を売った場合に、減税される制度を導入する。深刻な社会問題であり、積極的に周知して利用を広げる必要がある。

 環太平洋連携協定(TPP)の発効をにらんだ対策もある。都道府県の「農地中間管理機構」に農地を貸した場合に税負担を軽くする一方、耕作放棄地にかかる固定資産税を引き上げる措置だ。農地集約の後押しになろう。

 最大の焦点である軽減税率は、対象品目の範囲は固まったが、税収減を穴埋めする財源は決まっていない。

 17年4月の導入まで残された時間は少ない。詰めを急いでもらいたい。