温室効果ガス排出削減に、世界が一丸となって取り組む契機としたい。

 パリで開かれた国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)が、2020年からの実施を目指す地球温暖化対策の新たな枠組み「パリ協定」を採択した。

 1997年に採択された京都議定書に代わる枠組みで、今世紀後半に世界の温室ガス排出量を実質的にゼロにすることを目指す。

 米国や中国、日本など190を超える国が参加する意義は大きい。化石燃料に依存してきた社会や経済の在り方を変える歴史的転換点とすべきである。

 協定が掲げた目標は、産業革命前からの気温上昇を2度未満に抑えることだ。海面上昇による被害が深刻な小さな島国に配慮して、1・5度に抑えるよう努力する意思も示した。

 現在の世界排出量の半分は、京都議定書で削減義務を負わなかった米国や中国、インドなどが占めている。大排出国の参加で、削減が大きく前進することが期待できる。

 目標の達成に向けては、今世紀後半に人為的な排出量と森林などの吸収量を均衡させるとした。各国はそれぞれ削減目標を定め、国内対策を進める義務を負う。

 ただ、削減目標達成の義務化が、米国などに配慮して見送られたことは残念である。義務化すると、米議会で協定を批准できない可能性があるためで、合意を優先した妥協といえよう。

 さらに、各国が掲げた削減目標が不十分なことも問題である。

 会議では、186の国が削減目標を提出した。だが、自主的な目標のため甘くなりやすい上、各国が目標を達成しても、2度未満に抑えるのは難しい。

 そのため、協定は5年ごとに目標を見直すことにした。削減の実施状況を検証し、透明性を高める枠組みも設置した。これらを確実に実行することが、温暖化防止の成否を左右するといえるだろう。

 先進国から途上国への資金支援では、協定とは別の決議文書に、既に合意のある年1千億ドル(約12兆円)を最低額として、2025年までに定めるとした。資金が不足すれば、協定の崩壊につながる恐れがある。先進国は、責任をもって国力に応じた負担をするべきである。

 日本は、温室ガスの排出量を30年までに13年と比べ、26%減らす目標を掲げた。

 産業界や電力会社の排出削減とともに、増加傾向にあるオフィスや家庭部門での削減が重要だ。住宅の断熱性能向上や照明のLED化など、消費者も一層の省エネに取り組むことが求められる。

 環境省が年度内にも策定する「地球温暖化対策計画」には、省エネ技術の開発などを後押しする施策が盛り込まれる。日本は、そうした技術の輸出でも、国際社会で指導的な役割を果たしたい。