夫婦別姓を認めない民法の規定は合憲-。最高裁大法廷の判決は残念なものだった。

 夫婦、家族の在り方が多様化する中、「家制度」を尊重した明治時代から引き継がれた夫婦同姓を肯定し、選択的夫婦別姓の導入に道を開かなかったことは、世界の潮流に反するものだ。

 ただ、国会での論議と判断は促した。世論の賛否が分かれる問題であり、政府、国会はもちろん、国民的な論議を重ねたい。

 一方で、最高裁は、離婚後の再婚を女性だけに6カ月間禁止する民法の規定については、「違憲」とする初の判断を示した。

 女性に不都合が多い現状を直視した判決と言える。

 夫婦別姓訴訟の原告側は事実婚の男女ら5人で「姓の変更を強制するのは権利侵害だ。実質的には女性差別で、多くの女性が職業上の不都合や精神的苦痛を強いられている」として、個人の尊重と両性の平等をそれぞれ定めた憲法13条、24条に違反すると主張していた。

 夫婦の姓は明治時代、家の姓を名乗ると定められ、戦後の民法改正で、夫婦どちらかの姓を称することになったという経緯がある。

 最高裁は「規定に男女間の形式的な不平等はなく憲法違反とは言えない。夫婦が同じ姓を名乗る制度は日本社会に定着している」と指摘し、原告側の主張を退けた。

 結婚する際、夫の姓を選ぶケースが圧倒的だ。「不利益を受けるのは女性が多いとみられる」と認めたが、「通称使用が広まることで不利益が緩和される」と指摘した。果たしてそうだろうか。

 判決は15人の裁判官のうち10人の多数意見である。

 注目すべきは、3人の女性裁判官全員が、事実婚を選ぶ人がいる現状に触れ、「別姓禁止は結婚の自由を制約する不合理な条件で違憲だ」としたことだ。

 「制度の在り方は国会で論じて判断されるべきだ」との指摘を、国会は重く受け止めなければならない。女性の不利益をなくすよう、法改正を急ぐべきである。

 再婚禁止期間訴訟では、子の父の推定が混乱しないよう、女性にだけ離婚後6カ月間の再婚禁止期間を設定した民法の規定が問題となった。 原告の30代の女性は「法の下の平等に反し、女性の婚姻の自由に制限を加えている」と指摘し、「精神的苦痛を受けた」として国に賠償を求めていた。

 最高裁は「100日を超える禁止は、婚姻の自由に対する合理性を欠いた過剰な制約だ」とし、女性が離婚した2008年の時点で違憲だったとの判断を示した。だが、「正当な理由なく立法を怠っていたとは言えない」として、賠償請求は退けた。

 DNA鑑定など科学の発達に伴う時代の変化に、法律を適応させるのは当然だ。

 政府と国会の責任ある対応が重要である。