2020年東京五輪・パラリンピックのメーンスタジアムとなる新国立競技場の新たなデザインが決まった。

 応募された2案のうち、法隆寺など日本の伝統建築の「垂木」を想起させるひさしと、柱が連続する外観を特徴とするA案である。大成建設などと建築家の隈研吾氏が手掛けた。

 新国立競技場をめぐっては、旧計画の総工費が巨額となり、混乱の末に白紙撤回された経緯がある。それだけに二度と失敗は許されない。

 今度こそ、多くの国民やアスリートはもちろん、世界中の人々に喜ばれる競技場となるよう、しっかりと計画を進めてもらいたい。

 建設地は緑豊かな明治神宮外苑にあり、周辺の環境とどう調和させるかが新計画のポイントの一つだった。

 A、B両案とも木を使うなど自然重視の姿勢は共通しており、選定での得点は僅差だった。その中で、A案は「木と緑のスタジアム」をコンセプトとし、より環境に配慮した点が評価されたといえる。

 高さは50メートル以下とB案より低く、威圧感を抑えて、スタジアムを囲む各層のテラスには緑を多く取り入れた。観客席の屋根は木材と鉄骨とのハイブリッド構造とし、木の持つ温かな質感を生かして「和」を演出している。

 暑さ対策として、屋根の表面に特殊な塗装を施し、気温の上昇を抑える仕組みにしたのも特徴だ。

 外観も大事だが、最も重要なのは選手が使いやすいフィールド、トラックであり、観客が競技と一体化できるスタンドなどの内部施設である。利用者に末永く愛され、名実ともに新たな「スポーツの聖地」となるよう、細部に一層の工夫を凝らしてほしい。

 今後の課題は、約1490億円の総工費と、19年11月末とする工期が、計画通りになるかどうかだ。

 費用は国が半分を支出し、東京都とスポーツ振興くじ(サッカーくじ)が4分の1ずつ負担する。

 だが、東日本大震災の影響などで、資材や人件費は高騰している。サッカーくじが売れ続ける保証はなく、建設現場の人手不足も深刻だ。不安要素は少なくない。

 新計画は、2651億円に膨れ上がった旧計画と比べると安いものの、12年に国際公募した際の想定は1300億円だった。

 A案はコスト縮減と工期短縮の面でB案より高い評価を得たが、さらなる努力を怠ってはならない。

 今回の公募は、旧計画の白紙撤回から応募締め切りまでが約2カ月と短く、設計・施工を一体的に担うことが条件で、ハードルが高かった。このため応募は2案にとどまり、他の業者や建築家には不公平感が残った。

 旧計画をめぐり迷走を続けた結果であり、事業を担当する文部科学省と日本スポーツ振興センターに、あらためて反省を求めたい。