悪質さにあきれるほかない。違法な天下りのあっせんが発覚した文部科学省を巡る問題である。

 組織的にあっせんしていたばかりか、口裏合わせの想定問答を作って隠蔽工作までしていた。

 文科省は、子どもたちに善悪の区別や倫理を教える学校現場を所管する官庁である。教育に対する信頼を深く傷つけたことを、関係者らは重く受け止めるべきだ。

 他の官庁でも、同じような不正が行われている疑いは強い。政府は全府省庁で違法な天下りがないかを調べる。徹底した調査で実態を把握し、再発を防ぐ手だてを講じなければならない。

 問題となっているのは、2015年に退職した元高等教育局長が、早稲田大の教授に再就職したことだ。

 内閣府の再就職等監視委員会は、文科省の人事課職員が元局長の経歴に関する書類を大学に送っていたとして、国家公務員法違反と認定した。元局長本人も在職中に経歴を大学に伝えていたとされる。事実なら、これも違反だ。

 国家公務員法は、所管する関連企業や外郭団体などへの再就職の「あっせん行為」と、本人の在職中の「求職活動」を禁じている。天下りが官民の癒着を生み、税金の無駄遣いや談合などの不正の温床になってきたからだ。

 そうした法の趣旨を、文科省が無視していたことに驚かされる。早大も、ホームページに元局長の役割を「文科省の各種事業に関する連絡調整への関与」と明記していた。疑念を抱かれるとは思わなかったのか。首をかしげざるを得ない。

 監視委は、ほかにもあっせんが37件あり、うち9件は国家公務員法違反の疑いがあるとした。

 看過できないのは、複数の文科省OBが再就職の仲介役になったケースがあることだ。直接のあっせん行為は違法だが、民間の第三者による「マッチング」は明確に禁止されていない。監視委は、規制を逃れる脱法目的だったとみている。そうだとすれば法律軽視も甚だしい。

 文科省は全容解明へ調査を始めた。うみを出し切らなければ信頼回復はできまい。

 天下りは他の府省庁でも問題となってきた。再就職先が欲しい官庁と、役所との関係を深めたい民間との利害が一致する構図が背景にある。

 官僚が培った専門的な知識や経験が社会で生かされるのは、悪いことではない。肝心なのは、公正であるべき行政をゆがめないようにすることである。

 不正な天下りを根絶するには、抜け穴を許さない明確なルール作りが欠かせない。監視委など、チェック体制の強化も急がれよう。何より、規則の周知徹底と公務員の意識改革が求められる。

 悪弊を絶つ抜本対策をどう打ち出すのか。国民が注視していることを、政府は忘れないでほしい。