安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)の獣医学部新設計画を巡って、「総理の意向だ」などと、事実であれば看過できない内容の文書の存在が明らかになった。
 
 文書を入手した民進党は、首相の関与を含めて、文部科学省や内閣府に事実関係の確認を要求した。
 
 政府は、文書の真偽の確認を急がなければならない。
 
 首相はこれまで、獣医学部の新設に関して「もし働き掛けて決めたならば責任を取る」などと関与を全面否定してきた。
 
 菅義偉官房長官は文書の記載内容について「そういう事実はない。首相からもその指示は一切ない」と否定した。
 
 しかし、新設に至る経緯が不可解だとの声は広がりを見せている。首相は自ら事実関係をしっかりと説明すべきである。
 
 加計学園は国家戦略特区制度を活用して、愛媛県今治市に岡山理科大の獣医学部を新設する計画を進めており、2018年に開学する予定だ。獣医学部の新設は52年ぶりとなる。
 
 文書は、文科省が、特区制度を担当している内閣府とのやりとりを記録した形になっている。
 
 「獣医学部新設に係る内閣府からの伝達事項」と題した文書には「平成30年4月開学を大前提に、逆算して最短のスケジュールを作成し、共有いただきたい。これは官邸の最高レベルが言っていること」「獣医学部新設を1校に限定するかは政治的判断である」と記されている。
 
 「大臣ご確認事項に対する内閣府の回答」という文書には「これ(早期開学)は総理のご意向だと聞いている」などと書かれている。
 
 もともと、文科省は獣医師の需要を考慮して、獣医学部の新設を原則として認めていなかった。
 
 ところが、政府は昨年、特区制度により、広域的に獣医師養成大学がない地域に限って、獣医学部の新設を容認する方針を決めた。1校の特例として、新設する事業者を募集した。募集期間はわずか8日間で、応募したのは加計学園だけだった。
 
 加計孝太郞理事長は首相の数十年来の「腹心の友」とされ、年に数回、会食やゴルフを共にする間柄だ。
 
 民進党は「首相のお友達だけが手を挙げられるよう優遇したのでは」と追及する。
 
 長年、大学誘致に取り組んできた今治市は、学園に建設予定地として用地を無償譲渡し、施設整備費96億円を助成することを決めている。
 
 大阪府豊中市の国有地が学校法人「森友学園」に格安で売却された問題では、昭恵夫人の関与と官僚の忖度(そんたく)についての疑念が晴れていない。
 
 言うまでもなく、政治に求められるのは、公平無私の姿勢である。なぜ、それが疑問視される事態が相次いでいるのか。真相を徹底解明しなければならない。