予想通り、「米国第一」を掲げるトランプ米大統領に振り回された2日間だった。
 
 イタリアで開かれた先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)である。
 
 首脳宣言は、貿易政策について「反保護主義」の記述に否定的なトランプ氏が譲歩し、「保護主義と闘う」と明記したが、決裂回避のために両論併記となった。
 
 地球温暖化対策の新枠組み「パリ協定」の在り方では、合意に至らなかった。
 
 G7が主導してきた自由貿易や国際協調主義が、大きく揺らいだのは間違いない。
 
 だが、世界情勢が混迷を深める中、人権や民主主義、法の支配といった価値観を共有するG7の役割は重要性を増している。
 
 日本をはじめ各国は、米国を国際協調の道に引き戻し、これ以上、結束が乱れないよう努めることが大切だ。
 
 G7はこれまで、首脳宣言で「あらゆる保護主義と闘う」としてきた。今回は「あらゆる」との言葉を削った上、前段に「あらゆる不公正な貿易慣行に立ち向かう」という文言を加えた。
 
 米国の貿易赤字削減を重視するトランプ氏が、非関税障壁やダンピング(不当廉売)などを行う「不公正」な国に対抗措置を取ると主張していることに配慮したためだ。
 
 中国が念頭にあると見られるが、不公正かどうかは米国が判断する。自動車などで対米黒字が増えている日本やドイツに、矛先が向けられる可能性もある。
 
 対立の火種を残した形だが、各国が自国の利益のみを優先すれば、世界経済は混乱に陥る。反保護主義の表現を弱めた影響がどう表れるのか、懸念が拭えない。
 
 パリ協定を巡っては、大統領選で離脱を公約したトランプ氏と、他の首脳らとの間の溝が埋まらなかった。首脳宣言で、米国を除く6カ国と欧州連合(EU)で「速やかな実行」を目指すとしたのは異例なことだ。
 
 トランプ氏は、今週中に協定への対応を最終決断するという。世界第2位の温室効果ガス排出国が離脱する打撃は計り知れない。トランプ氏は超大国の責任を自覚し、残留を表明すべきである。
 
 不協和音が目立ったサミットだが、テロ対策や、核・ミサイル開発を進める北朝鮮への圧力強化では一致した。
 
 特に、北朝鮮に対して「国際的課題の最優先事項で、新たな段階の脅威」だと、従来以上に厳しく非難したのは当然だろう。
 
 北朝鮮はきのう、これに反発するように弾道ミサイルを発射した。今年に入って9回目で3週連続だ。度を越した挑発は断じて許せない。
 
 首脳宣言は、国連安全保障理事会の制裁決議を完全履行するよう国際社会に求めた。中国、ロシアを含めた包囲網の強化が欠かせない。そのためにも、G7が結束を固める必要がある。足並みを乱している場合ではない。