特殊詐欺による被害が後を絶たない。徳島県内で今年発生した特殊詐欺被害は、5月までで32件約4336万円に上る。

 特に狙われやすいのが高齢者である。卑劣な犯罪から守る手だてを講じなければならない。

 例えば、還付金があると偽って現金自動預払機(ATM)から金を振り込ませる手口は昨年、県内で12件あり、被害者は全員が65歳以上だった。被害を水際で食い止める方策が要る。

 手口は年々複雑化し、巧妙化している。5月11日には銀行員を装った電話を高齢女性宅にかけて約1200万円相当の金塊を購入させ、だまし取ろうとした男が逮捕された。不審に思った親族が警察に相談したことで未遂に終わったが、危うく多額の被害が出るところだった。

 家族や身近な人による「声掛け」や対策が必要である。

 阿波銀行と徳島銀行は5月から、70歳以上の顧客がATMで振り込みをする場合に制限を設けた。過去一定期間に自行カードでATMから振り込みしていなければ、設定金額以上の振り込みができないようにした。

 防犯意識を高める啓発や自衛策の呼び掛けも欠かせない。県警などは高齢者向け講習会で詐欺への注意を促している。参加できなかった人たちに、新たな手口などについて周知徹底することも大切だ。

 地域の人間関係が希薄になったといわれるだけに、高齢者が相談しやすい環境づくりも求められる。地域全体で高齢者を見守る社会をしっかりと築いていきたい。