トランプ米大統領が司法妨害をした可能性が高まった。
 
 コミー米連邦捜査局(FBI)前長官が、ロシアの米大統領選への干渉疑惑「ロシアゲート」に関する上院情報特別委員会の公聴会で証言し、トランプ氏が側近のフリン前大統領補佐官の捜査をやめるよう「指示」したという認識を示した。
 
 トランプ氏側は、フリン氏に対する捜査をやめるようコミー氏に指示した事実はないとし、トランプ氏自身も証言の一部について「真実ではない」と主張した。
 
 しかし、司法妨害を示唆するなど、コミー氏がトランプ氏の介入を批判した意味は極めて大きい。コミー氏の証言が事実であれば、捜査の独立性を侵害するものであり、超大国を率いる指導者としての資質が厳しく問われる。

 目が離せないのは、今後の捜査の行方である。トランプ氏の関与は、どこまであったのか。疑惑の全容を解明しなければならない。

 コミー氏は、司法妨害があったかどうかについて、判断をモラー特別検察官に委ねる考えを表明した。
 
 モラー氏は、ロシアが昨年の大統領選で民主党のクリントン氏陣営にサイバー攻撃を仕掛け、メールを流出させるなど、共和党トランプ氏陣営と共謀して選挙に干渉したとされる疑惑を捜査している。
 
 特別検察官は1970年代に、当時のニクソン大統領が辞任に追い込まれたウォーターゲート事件の際に任命されて有名になった。モラー氏はトランプ氏の娘婿、クシュナー大統領上級顧問と駐米ロシア大使やロシア政府系銀行頭取との接触に関心を寄せているといわれる。その手腕が試されよう。
 
 民主党内ではトランプ氏を訴追し、罷免する弾劾を求める声が上がっている。コミー氏とのやりとりが司法妨害と認定されれば、その道を開くことになるだろう。
 
 コミー氏が公の場で発言するのは、トランプ氏に突然解任されてから初めてとなる。
 
 解任された時期は、米大統領選でロシア側とトランプ氏陣営が共謀した可能性をFBIが調べていた最中だった。
 
 それだけに、トランプ氏が政権に大打撃を与えかねない捜査を止めようとしたとの見方が強まっている。

 コミー氏は、解任されたのは「私が進めていたロシア関連の捜査が何らかの圧力になったからだ」と証言した。
 
 さらにコミー氏によると、解任までの約4カ月間で、トランプ氏と計9回会話を交わし、その都度、記録を作成していた。「自分とFBIの独立性を守るためだった」と説明したのは、トランプ氏への不信感が強かった証しだ。
 
 トランプ氏はコミー氏に「忠誠心」を繰り返し求め、自分が捜査対象になっていないことを公表するよう要求したともいう。
 
 トランプ氏は、これらに対して納得できる説明をしなければならない。