徳島県議会6月定例会は、きのうで代表・一般質問を終えた。
 
 論戦の焦点は、東京の音楽プロダクションとその代表取締役が脱税容疑で告発されたのをきっかけに浮上した「とくしま国民文化祭記念管弦楽団(とくしま記念オーケストラ)」事業を巡る数々の問題だった。
 
 多くの県民が事業に不信感を抱いているだけに、厳しい追及を期待したが、肩すかしを食ったとの感が強い。
 
 飯泉嘉門知事は当初、「(事業の委託業者と協力会社である音楽プロダクションの)民間同士の話」として事業費の調査に消極的だった。
 
 しかし、15日の開会日の所信表明で姿勢を一転させ、不透明だと指摘される事業費の使途や金額を調べる意向を表明した。
 
 今議会は、疑問点や問題点を直接、知事にただす絶好の機会である。
 
 とりわけ、自民系3会派が合流して発足した県議会自由民主党にとっては初の代表・一般質問だ。全議員の7割以上を占める大会派が、知事に対して、どう向き合うかに注目した。
 
 代表質問で、会長の嘉見博之氏は記念オケの廃止を含めた見直しを求め、事業費の流れの不透明さを是正するよう促した。当然の指摘である。
 
 嘉見氏は4期目の任期を折り返した知事の多選の弊害への懸念を示しながら、記念オケの問題について「政治や行政が最も大事にすべき公平、公正、透明性の視点がいつの間にかおろそかにされ、職員の感覚も鈍ってしまっている感がする」と苦言を呈した。
 
 知事は、来年2月に開くベートーベン第九交響曲アジア初演100周年のコンサートを区切りに、記念オケ事業の廃止を含めて抜本的に見直す考えを示唆した。
 
 その上で、「文化立県とくしま推進基金」から拠出される事業費の使途の透明化を図り、音楽プロダクションと代表取締役に渡った金額も算出を進めることを明言した。
 
 一般質問では上村恭子氏(共産)が、記念オケ事業に深く関わってきた音楽プロダクション代表取締役の川岸美奈子氏について取り上げた。
 
 川岸氏を県の政策参与に任命するなど重用した背景を問われたのに対し、知事は「任命責任は私にある。大変申し訳なく思っている」と繰り返した。だが、旧知である知事の力が働いたのではないかとの質問に、知事は正面からの答弁を避けた。
 
 県民が疑問に思っている点であり、知事の姿勢はかえって不信を増幅させかねない。
 
 残念なのは嘉見、上村両氏以外に、今、県民の関心を集める問題で知事に迫る場面が見られなかったことだ。
 
 それで議会は県民の負託に応えていると言えるのか。記念オケ問題の解明が不十分である。行政のチェック機関としての役割を果たすべきだ。
 
 知事とのなれ合いを排した緊張感のある論議を求める。