三好市長選で黒川征一氏(69)が再選を果たした。
 
 1164票差で勝ったとはいえ、投票率が過去最低の63・05%に落ち込んだ事実を忘れてはならない。
 
 多くの有権者は黒川氏を積極的に信任する意思を示していない。市民の声なき声に耳を澄ませながら、2期目に向かうべきである。
 
 市の人口はかなり速いペースで減っている。国勢調査によると、合併前年の2005年には旧4町2村で3万4103人だったのに対して、15年には21・3%減って2万6851人になった。10年間で5人に1人がいなくなった計算である。
 
 同じ期間の県全体の減少率6・7%と比べると、際立って大きい。黒川氏の市長就任後の4年間だけで、佐那河内村の人口より多い約2500人が減った。
 
 人口は地域の活力の基盤をなす。他地域に比べて急速な勢いで活力が失われているのはなぜか。掘り下げて考えたい。人口流出を防ぎ、移住者を招き入れる対策がこれまで以上に重要となる。
 
 都市部などから中高年の移住を受け入れる「生涯活躍のまち」事業もいよいよ具体化する。これを着実に進めることはもちろん、既存の施策もより効果の上がる手法を探る努力が欠かせない。
 
 黒川氏は定住を促す策の一つとして、学校給食の無料化を打ち出した。財政への影響を考慮しながら進めてほしい。単なる人気取りに終わらせてはならない。
 
 一方で、中長期的に人口が大幅に減ることを想定した取り組みも必要になる。
 
 国立社会保障・人口問題研究所の推計では、市の人口は40年には現在のほぼ半数の1万3745人になるとされている。その流れを大きく変えるのは難しい。
 
 重みを増すのが行財政改革だ。黒川氏の就任後、職員削減のペースが鈍ったという批判がある。組織の適正規模について、引き続き検討を重ねるべきだ。
 
 合併に伴う地方交付税の優遇措置は20年度が最後で、人口減により税収が減るのも確実だ。公共施設の統廃合など、あらゆる面で支出の見直しを迫られよう。
 
 地域活性化へ期待されるのが、観光振興を中心とした交流人口の増加だ。市は祖谷地方など人気の観光地を抱える県内有数の観光エリアで、外国人旅行客も多い。
 
 今年秋のラフティング、来年夏のウェイクボードと相次いで世界選手権が開かれる。受け入れ態勢を整え「ウオータースポーツのまち」と認知されるようアピールしたい。
 
 気掛かりなのは市議会が市長派と反市長派に二分されていることだ。黒川氏が進める本庁舎整備や船井電機工場跡地活用問題への反発も強い。
 
 対立が「市民不在」と映れば、市政は市民からさらに遠い存在となる。黒川氏も議会も、市民が主役の政治を実現しなければならない。