特別国会で衆参両院の本格的な論戦が始まった。
 
 代表質問で物足りない思いが残ったのは、安倍晋三首相の答弁が十分かみ合わなかったからだろう。
 
 野党の新党首の質問からは、憲法観や政権へのスタンスが読み取れた。今後の審議でさらに論議を深め、政権や政策の問題点を明らかにしてもらいたい。
 
 首相は謙虚な姿勢で国民の疑問に答えていかなければならない。
 
 代表質問で、立憲民主党の枝野幸男代表は「集団的自衛権の行使は憲法違反だ。立憲主義に反した状況を放置しておいて、まっとうな憲法議論ができるわけがない」とし、「今のまま(憲法9条に)自衛隊を明記すれば、専守防衛から大きく逸脱する」と懸念を表明した。
 
 希望の党の玉木雄一郎代表は、国民の知る権利、地方自治の本旨など幅広い論点について議論するとの立場を明らかにし、「安倍首相が突然提案した自衛隊を憲法9条に明記する改憲案には違和感を禁じ得ない。立憲主義にのっとり憲法議論を正しくリードしていく」と述べた。
 
 両代表は、改憲案を批判し対決姿勢を鮮明にしたが、首相は2人の憲法論には答えなかった。刺激を避け、かわした格好だ。
 
 民進党の大塚耕平代表が憲法への自衛隊明記について尋ねたのに対し、首相は「自衛隊の任務や権限に変更は生じない」と強調したが、国民の理解を得られるのか。
 
 自民党の岸田文雄政調会長が首相に、森友、加計(かけ)学園問題で「丁寧に説明する」よう促したのは当然のことだ。
 
 与党に求められるのは、政権への遠慮のない、緊張感のある質問や提言である。
 
 なれ合いに終始すれば、野党の質問時間の削減を主張しているのは、厳しい質問を封じ込めるためだとのそしりを免れない。
 
 舞台はあすから衆参の予算委員会に移る。衆院予算委の質問時間は与党が5時間、野党が9時間で折り合った。
 
 どちらが真摯(しんし)に質問しているか、答えが出よう。
 
 与野党とも、国会の現状について反省すべき点はないか、振り返る必要がある。
 
 首相と党首が基本政策を議論する党首討論が昨年12月を最後に開かれていないのは、怠慢だといえる。
 
 2000年の創設以来、1年に1度も開かないのは初めてのことになる。
 
 通常国会では当初、森友学園問題を巡って野党が党首討論を呼び掛けたが、与党は拒否した。
 
 終盤は一転して与党が開催を要求したのに対し、野党が長時間、首相を追及できる予算委員会を重視した結果、実現しなかった。
 
 党首討論では首相にも質問権があり、野党も力量が問われる。
 
 本会議、委員会、党首討論と重層的に論点を掘り下げることが大切だ。