徳島県議会11月定例会が開会した。来年度予算編成を前に、重要課題を徹底的に議論しなければならない場だ。県政の方向性を検証し、飯泉嘉門知事の政治姿勢についてもしっかりと問う必要がある。
 
 取り組みの遅れが目立つのが観光だ。全国最下位が続く宿泊者数をもっと増やしていくためには、どんな方策があるのか。
 
 観光庁の調査では、2010~16年の7年間で、徳島県内の宿泊者数が全国最下位でなかったのは14年だけだ。宿泊の経済効果は大きい。
 
 京阪神から日帰り圏内の徳島でいかに宿泊してもらうか。PR戦略は不可欠だ。観光業界からは「定例会後の広報紙を見ても、県議は観光に関心がない印象だ」との声がある。そんな指摘がなくなるよう、予算編成前に十分議論してもらいたい。
 
 県が東京都渋谷区に整備中の情報発信・交流拠点「ターンテーブル」に関しても、目を光らせていくべきだろう。
 
 施設整備費は約2億3千万円で、来年度以降も毎年、県費3千万円が持ち出しになる。県産品の販売に重点を置くアンテナショップではなく、国内初の宿泊機能を備える滞在型という取り組みだ。
 
 言うまでもなく、多額の公金をつぎ込むだけに、失敗は許されない。施設は本年度中にオープンする。事業予算を認めてきた議会として、成功に導く責任があることを忘れてはならない。
 
 消化不良のままになっているのが、とくしま国民文化祭記念管弦楽団(とくしま記念オーケストラ)事業に絡む脱税事件である。
 
 起訴された東京の音楽プロダクションは、16年7月期までの3年間で1億2900万円の所得があった。その大半は記念オケ業務で得た手数料だったとみられている。
 
 県民が抱く不信感は、5月末の脱税疑惑発覚以来、一向に薄れていない。
 
 知事は20日の定例会見で県の責任論を巡る質問に対し、「県は適正に事業をしてきた。事業を受けた人が国民の義務である納税を怠ったということだ」と答えた。
 
 これで説明責任を果たしたといえるのか。多額の公金が脱税されたという意識や、疑念に向き合う姿勢が欠けてはいないか。
 
 近年、文化行政は、クラシック音楽に偏ってきたとの批判もある。投入した予算配分が適正だったのかどうかも含めて議論してほしい。
 
 防災面では、南海トラフ巨大地震発生時の避難所収容人数が、徳島市などで避難想定数を大幅に下回っていると、国の機関から指摘された。「とくしまゼロ作戦」と銘打つ県の防災対策に問題はないか。検証が欠かせまい。
 
 議会には、大切な役割がある。地域課題の解決に向けた提言をしていくのはもとより、首長に慢心や暴走がないかのチェックである。県民の声をどう届けるのか。定例会に耳を傾けたい。