度重なる国際社会の制止を無視して、北朝鮮がまた弾道ミサイルを発射した。

 朝鮮半島のみならず、国際的な緊張を高める暴挙を強く非難する。平和を脅かす挑発は断じて許されない。

 きのうの未明に発射されたミサイルは53分間で約千キロを飛行し、青森県西方の日本の排他的経済水域(EEZ)に落下した。

 北朝鮮は、新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星15」の発射実験に成功したとの声明を出した。通常よりも高い角度で打ち上げたとみられており、通常軌道なら飛距離は1万3千キロ以上で米全土が射程に入る恐れがある。

 未明の発射には、米国への攻撃能力に加えて、奇襲能力を誇示する狙いもあるようだ。ミサイル開発の進展で、北朝鮮の核の脅威は一段と強まったと言える。

 金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長は「国家核戦力完成」を宣言した。だが、身勝手な威嚇に屈せず、国際社会が結束して包囲網を強めることが大事だ。

 ミサイル発射は、9月に北海道上空を通過した中距離弾道ミサイル「火星12」以来となった。

 米政府が今月20日に北朝鮮を「テロ支援国家」に再指定したことへの反発もあるのだろう。

 暴走する北朝鮮に、米国や国連が厳しい対応を取るのは当然である。中国も発射を批判した。

 北朝鮮への石油供給の制限を含む国連安全保障理事会の制裁決議を、中国やロシアなどの友好国も完全に履行する必要がある。

 金氏に、核・ミサイル開発は孤立を深めるだけで得るものがないことを、認識させなければならない。

 安倍晋三首相はトランプ米大統領との電話会談で、圧力を最大限に高め、日米韓3カ国で連携していくことで一致した。

 米政界には強硬論もあるようだが、トランプ氏は平和解決の道を目指すべきである。軍事衝突は日本など周辺国も巻き込んで、甚大な被害をもたらす。

 日本のEEZ内へのミサイル落下は今回で7度目だ。漁業関係者からは「いつ撃つか分からない」と不安の声が上がっている。政府は漁業者ら国民の安全確保と不安解消に全力を挙げてほしい。

 折しも広島では、核兵器のない世界の実現に向けた方策について議論する国連軍縮会議が開催中で、松井一実市長は「恒久平和を願う人を裏切る行為」と発射を指弾した。

 北朝鮮の蛮行は被爆地の願いを踏みにじり、核軍縮に向かう世界の潮流にも反する。

 核開発とミサイル技術の高度化により米国と強い立場で交渉し、核保有国として認められたいという北朝鮮のもくろみは打ち砕かれるべきだ。

 「ごね得」を許せば、ドミノ倒しのように核拡散を誘発しかねない。朝鮮半島の非核化に向け、粘り強い取り組みを続けなければならない。