NHKの受信料制度は合憲とする初めての判断を、最高裁大法廷が示した。

 判決は、受信料制度について「国家機関などからの影響が及ばないようにし、広く公平に負担を求める仕組みだ」とした上で、「国民の知る権利を充足する目的にかなう」と認定した。

 世論に大きな影響を与える放送は、時の権力や特定の個人、団体などの意向によって内容が左右されることがあってはならない。

 独立性を保つ制度として、大法廷が意義を認めたのはうなずける。

 司法の「お墨付き」を得た格好だが、公共放送であるNHKには、より一層、質の高い番組を作る責任が課せられたといえる。視聴者の期待に応えられるよう努めてもらいたい。

 訴訟は、受信契約の締結を拒否し続けた男性に対し、NHKが受信料の支払いを求めて提訴したものだ。

 テレビの設置者はNHKと受信契約を結ばなければならないと定めた、放送法64条1項の解釈が争点となった。

 判決は「憲法上許容される立法裁量の範囲内」とし、男性に受信料の支払い義務があると断じた。

 一方、判決は「NHKが設置者の理解を得られるように努め、契約が締結されることが望ましい」とも指摘した。

 NHKが未払い世帯に法的措置を取り始めたのは、2006年からである。番組制作費の着服など職員の不祥事が相次いで発覚した04年以降に、支払い拒否が急増したためだ。自らが不信を招いた経緯があることを、忘れてはならない。

 公共放送としての政治的中立性が疑われる事態も、たびたび起きた。

 前会長が「政府が右と言っているものを、われわれが左と言うわけにはいかない」と語り、批判を浴びたのは記憶に新しい。

 改憲派の集会で、交戦権を否認した憲法9条2項を「とんでもない欠陥条項」と述べた経営委員もいた。

 NHKの会長は経営委員会が任命し、経営委員は首相が任命する。恣意(しい)的な人選にならないよう、国会での意見聴取や第三者機関の設置など、見直しが必要ではないか。

 そもそも、放送法でNHKと民法が役割を補完し合う「二元体制」が採用されたのは、戦争に協力した戦前の放送体制への反省からだ。受信料制度は、国費や広告料に依存しない公共放送を維持する目的で導入された。

 判決は、NHKを「公共の福祉のための放送」と位置付けた。

 そうだとすれば、国民が積極的に費用を負担してもいいと思える公共放送は、どうあるべきか。インターネットの普及などでテレビ離れが進む中、どんな役割が求められているのか。

 NHKは原点に立ち返り、視聴者と共に真剣に考える必要がある。