与党が2018年度の税制改正大綱を決めた。
 
 焦点の所得税改革では、各種控除額を変え、高所得の会社員や年金受給者らの税金を増やす一方、自営業やフリーで働く人を減税するとした。
 
 働き方の違いによる不公平をなくす狙いや、「所得再分配機能」を強化しようとの方向性は理解できる。
 
 だが、改正が小手先にとどまったのは残念だ。大綱は、今後数年かけて控除全般を見直すとしたが、格差を是正するためには、抜本的な改革に踏み込む必要がある。
 
 所得税の控除は、誰でも受けられる基礎控除のほか、会社員に適用する給与所得控除や年金受給者の年金控除などがある。
 
 改正では基礎控除を10万円増やし、給与所得、年金両控除を10万円減額する。これにより、組織に属さない人への恩恵が広がることになる。
 
 日本の給与所得控除は欧米主要国の倍以上とされる。会社員が主体だった時代につくられた制度を、現状に合わせて変えるのは当然だろう。
 
 増税となるのは年収850万円超の会社員や、年金以外で1千万円超の所得がある高齢者らだ。
 
 国、地方の財政が厳しく、社会保障費が増大する中、生活に一定の余裕がある人から多く取るのはやむを得ない。ただ、なぜ年収850万円超なのかなど、丁寧な説明が求められる。
 
 問題は、勤労所得を増税しながら、「不労所得」である利子や株式配当への金融所得課税に手を付けないことだ。
 
 税率は20%で、所得税の最高税率45%を下回り、海外と比べても低い。これを据え置き、勤労者の負担を増やすのでは理解は得られまい。
 
 高所得者ほど減税額が大きくなる現在の「所得控除」方式から、軽減額が一定となる「税額控除」方式に変更する議論も先送りしたままだ。
 
 主要国の多くは税額控除を採用している。政府税制調査会も、11月の中間報告で「控除の在り方を見直すべきだ」と明記していた。改革から逃げてはいけない。
 
 法人税では、賃上げや設備投資などを条件に、大企業は増やした給与総額の最大20%、中小企業は同25%を税額から差し引けるようにした。
 
 ため込んだ内部留保を賃上げなどに向けさせ、消費拡大を図ろうとの政策判断である。しかし、果たして企業の慎重な姿勢を変えることができるのか。効果は不透明だ。
 
 新設の「国際観光旅客税」は出国時に千円、「森林環境税」は年千円をそれぞれ徴収する。いずれも、是非について議論が尽くされたとは言えず、導入の目的や使途には曖昧さが残っている。
 
 たばこ税の引き上げなども含め、今回の改正全体を通じた増税額は計2800億円に上る。家計の負担はそれだけ重くなる。
 
 政府は無駄遣いを排し、歳出改革にしっかりと取り組まなければならない。