政府が2018年度予算案を閣議決定した。いまひとつ、財政健全化の意欲が伝わってこない内容である。
 
 一般会計の総額は97兆7128億円。6年連続で過去最大を更新した。
 
 歳出では、伸び続ける社会保障費が32兆9732億円と、全体の30%超を占める。
 
 注目の診療報酬の改定は、全体で0・9%引き下げた。
 
 医師の技術料に当たる「本体部分」を0・55%引き上げる一方で、医薬品などの「薬価部分」を実勢価格に合わせて1・45%下げる。
 
 高齢化に伴う社会保障費の自然増を4997億円に抑えたことで、年平均5千億円の伸びとする目標は達成した。
 
 とはいえ、切り込み不足の感は否めない。本体部分の引き上げには、日本医師会への配慮もあったようだ。
 
 安倍政権が重視する防衛費は6年連続で増額し、過去最大の5兆1911億円となった。核・ミサイル開発を進める北朝鮮を警戒するのは分かるが、効率化などの努力も重ね、増える一方の支出に歯止めをかける必要がある。
 
 公共事業費は5兆9789億円となった。これも、第2次安倍政権発足後の13年度以降、増え続けている。
 
 新たな看板政策の「人づくり革命」では18年度、11万人分の保育の受け皿を作る。きめ細かな待機児童対策がなされているか、吟味したい。
 
 目を引くのは沖縄振興予算案が3010億円で、17年度の3150億円を下回ったことだ。米軍普天間飛行場の辺野古移設に反対する沖縄県への厳しい姿勢が読み取れる。
 
 喫緊の課題である財政再建への対応はどうか。
 
 歳入面では、景気拡大を追い風に、税収を59兆790億円と、バブル期の1991年度以来の高水準になると想定した。
 
 国債の新規発行額は33兆6922億円に抑えている。9年ぶりの低水準だが、歳入全体の30%以上を占める借金依存体質は変わらない。
 
 借金以外の歳入で政策的経費をどれだけ賄えるかを示す基礎的財政収支は10兆3902億円の赤字である。2年ぶりに赤字幅を縮小したが、高止まりしたままだ。
 
 安倍晋三首相は、自ら打ち出した消費税増税の一部の使途変更に伴い、基礎的財政収支を20年度に黒字化する財政健全化目標を断念した。
 
 新たな目標を設定するためにも、歳出を削減しておきたい。それなのに、デフレ脱却を掲げ、財政出動を重視する安倍首相は、財政規律への危機感に乏しいようだ。
 
 18年度予算案を踏まえた普通国債の発行残高は約883兆円に達する。国民1人当たり約700万円の借金を負う規模である。このつけを子どもや孫たちの世代に残してよいわけはない。
 
 大都市との格差が拡大する中、自治体に配る地方交付税交付金が15兆5150億円に減ったのも懸念材料である。地方重視の姿勢を求める。