核・ミサイル開発を続ける北朝鮮の動向から目を離せず、海洋進出を図る中国の動きも気掛かりだ。
 
 地域の平和と安定を保ち、国民の命と暮らしを守る。そのために相応の防衛力を持つ必要はあろう。
 
 だが、財政事情は苦しく、使える予算には限度がある。本当に有用な装備なのか、高額な購入費は妥当なのか。防衛予算が際限なく膨らまないよう、22日に召集される予定の通常国会で厳しく精査しなければならない。
 
 2018年度予算案の防衛関係費は5兆1911億円と、6年連続で過去最高を更新した。高齢化に伴う社会保障費の自然増を抑えるなど、やりくりに頭を痛める中で突出ぶりが目を引く。
 
 とりわけ力を入れるのが、北朝鮮情勢の緊迫化を踏まえたミサイル防衛(BMD)の強化である。その一環として、地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」2基を米国から調達し、23年度の運用開始を目指す。
 
 防衛省は「2基で北海道から沖縄まで防衛できる」と説明するが、多数のミサイル発射に対応するのは難しいとされる。
 
 取得費は当初、1基当たり800億円としていたが、1千億円弱に修正した。装備の性能次第では、さらに高額になる可能性があるという。
 
 イージス・アショアの導入が防衛力整備の指針「防衛計画の大綱」に記載されておらず、閣議決定という異例の形で踏み切ったのも見過ごせない。国会で議論を尽くさず、なし崩し的に決める手法に危惧を覚える。
 
 南西諸島を念頭に島しょ防衛の体制整備にも注力し、輸送機V22オスプレイやF35A最新鋭ステルス戦闘機なども米国から取得する。
 
 防衛費が膨張する要因の一つが、米政府の有償軍事援助(FMS)による購入が多いことだ。最新鋭の武器や装備品を買うときは、米国が提示する価格や納期の条件を受け入れなければならないというものである。
 
 FMSに基づく購入額は安倍政権になって急増した。13~17年度は計1兆6244億円と、08~12年度の4・5倍に上っている。
 
 安倍晋三首相が目指す日米同盟の深化が進み、武器を売り込むトランプ米大統領も歓迎するだろうが、「言い値」での調達でいいはずがない。見直しを求めるべきだ。
 
 予算案には、安全保障政策の基本である「専守防衛」を脅かしかねない項目も見られる。敵基地攻撃が可能な射程を持つ長距離巡航ミサイルの導入関連費である。
 
 首相は年頭記者会見で「従来の延長線上でなく、国民を守るため真に必要な防衛力強化に取り組む」と述べた。
 
 防衛体制を充実させるのは大事だが、外交力を高めることも忘れないでほしい。
 
 「国難突破」を強調するあまり、防衛予算を聖域化させてはならない。