小泉純一郎元首相が顧問を務める民間団体が、「原発ゼロ・自然エネルギー基本法案」の骨子を発表した。
 
 全原発の即時停止と、再生可能エネルギーの発電割合を拡大させるのが柱だ。
 
 22日召集の通常国会に議員立法として法案を提出するよう、幅広く与野党に支持を呼び掛けるという。
 
 脱原発に向けた大きなうねりが生まれるのかどうか。今後の動きが注目される。
 
 発表したのは、小泉氏や細川護煕元首相らが発起人となって設立した「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」だ。
 
 法案は、原発廃止と自然エネルギーへの全面転換が「国の責務」と明記し、稼働中の原発停止のほか、停止中の原発の稼働や新増設を認めないとした。
 
 使用済み核燃料の中間貯蔵と最終処分は、抜本的な計画を策定して官民挙げて実施するとし、核燃料サイクル事業からの撤退も打ち出した。
 
 太陽光や風力、水力、地熱、バイオマスなどの再生エネルギーは、発電割合を2030年までに50%以上、50年までに100%とする。
 
 原発の再稼働に前のめりな安倍晋三首相の姿勢に、真っ向から反対する内容である。
 
 巨大与党を擁する首相の「1強体制」は盤石だ。
 
 これに、どう対抗するのか。小泉氏は「国会で議論が始まれば、国民が目覚める。国民運動を展開したい」と述べ、野党の役割に期待した。
 
 立憲民主党が原発ゼロに向けた基本法案を通常国会に提出する方針を示すなど、野党の多くは脱原発で一致している。与党の公明党も、昨年の衆院選で「原発ゼロ」を公約した。
 
 ただ、各党の間には、直ちに停止させるかどうかや、目標年次などで違いがある。
 
 推進連盟の提案を契機とし、原発ゼロ実現の工程表など、実効性のある施策と法案を練り上げてもらいたい。
 
 自民党は原発を「重要なベースロード電源」と位置付けている。これに対して、小泉氏は「選挙で原発問題が争点になれば、自民党議員だって考えるだろう」と語った。
 
 共同通信社が13、14の両日に実施した全国電話世論調査では、49%が全原発の即時停止に賛成している。政治は、それをくみ取らなければならない。
 
 原発に代わるのは再生エネルギーだが、欧米や中国、インドなどが普及にまい進する一方で、日本は大きく遅れている。
 
 国際エネルギー機関(IEA)は、世界の再生エネルギーが16年に比べて22年には43%増えるものの、日本は27%増にとどまると予測した。
 
 普及を妨げているのは、発電コストの低減が不十分なことや、広域融通に必要な送電線の整備不足などだ。
 
 そうした課題を着実に解消させる具体策を提示するのはもちろん、何よりエネルギー政策の大胆な転換が求められよう。