飯泉嘉門徳島県知事は、4期目の任期満了まで5月であと1年となる。今年の県政で最大の関心事は、知事が5選出馬を決断するかどうかだ。

 2014年12月、知事は4選出馬表明に当たり「マンネリ、多選の弊害をしっかりと日々考え、県民目線、現場主義を忘れない。こうしたことが一番重要ではないか」と語っている。これを実践できているか、厳しい目でチェックする必要がある。

 知事にとって4選までは出馬が既定路線となっていた。ただ、5選出馬には否定的な見方もある。

 その要因の一つが、とくしま記念オーケストラ事業を巡る問題だろう。事業に深く関わった東京の音楽プロダクションの元代表取締役による脱税にとどまらず、飯泉県政の問題点が浮き彫りになったからだ。

 記念オケ事業には知事の思い入れが強く、7年間に約10億円がつぎ込まれる一方、県立図書館や近代美術館の予算は大幅に削られた。その偏重ぶりは独善とのそしりを免れない。

 疑問なのは、これをいさめる県幹部はいなかったのか、ということだ。

 知事は予算の編成・執行権、職員の人事権などを一手に握っている。それだけに、周囲がイエスマンばかりになってしまう恐れがある。

 知事自身が、幼少期からクラシック音楽に傾倒していることを認めている。職員がそれを忖度(そんたく)し、記念オケの事業費を拡大してきたのであれば、由々しき問題である。

 昨年の県議会11月定例会で知事は、記念オケ事業の本年度限りの廃止を表明する際に「(2月の第九演奏会で)大団円を迎える」と言い、元代表取締役との会食の有無に関して虚偽とも受け取れる答弁をした。誠実さを欠いた発言はおごりの現れと言われても仕方あるまい。

 首をかしげる事業は他にもある。2月に東京で開業する情報発信・交流拠点「ターンテーブル」は、民間に運営などを全て任せ、その効果を検証する仕組みを整えないまま多額の税金を投入する。徳島阿波おどり空港のターミナルビル拡張も巨費を投じながら、いまだに国際定期便の就航のめどが立っていない。

 深刻なのは、県議会がこうした問題や課題を十分にチェックできていないことだ。知事とのなれ合いも目につく。

 知事は昨年末、記念オケ問題について「心から反省し、おわびしたい」と謝罪した。県民の不信の高まりに危機感を抱いたのだろう。

 かつて国がまとめた「首長の多選の見直し問題に関する調査研究会報告書」は、多選の弊害の例として「首長に独善的傾向が生まれ、政治の独走化を招く」「職員の追従的行動がまん延する」「議会との間に緊張感を欠く」などを挙げている。

 そうした状況に陥っていないか。知事はいま一度、自らを振り返ってもらいたい。