1月28日に投開票された勝浦町長選は、新人が現職との一騎打ちを制した。投票率は81・50%。前に選挙戦となった16年前をわずかに下回ったとはいえ、有権者の関心は高かった。

 当選した新人の野上武典氏は選挙戦を通じて「子育て日本一の町を目指す」と強調した。対立候補だった現職の町政については「住民無視」と批判を重ねた。それらの主張を総合的に見て、有権者は町づくりを野上氏に託したと言える。

 対立候補を支持した人も含め、多くの有権者が投票所に足を運んだことで、野上氏の責任は一層重くなった。1票を投じた有権者は、今後も公約の実現に関心を払い続けるだろう。

 そうして生まれる緊張感が、町政に少なからず好影響を与えるに違いない。

 しかし、今回の勝浦町長選は最近ではまれなケースといっていい。かつて、地方の首長選は過熱が懸念されたが、近年は住民の関心が高まらず、投票率の低下傾向が止まらない。

 2017年、徳島県内で行われた11市町の首長選のうち、選挙戦となったのは3市町だけだった。しかも、いずれの投票率も高くなかった。

 このうち阿波市長選は過去最低の33・51%で、当選した藤井正助市長は全有権者の約24%の票しか得られなかった。当選が確実だったとはいえ、積極的に信任されたとは言い難い数字だ。

 三好市長選は63・05%で、こちらも過去最低だった。再選された黒川征一市長は選挙の前から、1期目の公約に反して退職手当を受け取ることが批判を浴びていた。有権者との約束を軽んじたに等しい市長の行動と低投票率との関連はないのか、と疑問を抱かざるを得なかった。

 議員選挙についても有権者の関心の低下が目立っており、投票率が過去最低となる選挙も多い。議員の場合も、低投票率が緊張感の緩みにつながっていると思われるケースが散見される。

 状況は年々、深刻になっているようだ。投票率を高め、地方自治を有権者の近くに引き寄せる努力が今こそ必要である。

 まずは、政治家や立候補者が有権者に向けて、目指す地域の将来像を具体的に示さなければいけない。目標を実現するために何をするのか、何を諦めるのかを丁寧に、率直に語り掛けてほしい。

 一方で、投票権の重みを十分に感じていない有権者がいるのだとすれば、考えを改めなければならないだろう。社会を形づくる一人として、貴重な1票を決して無駄にしないという心構えが求められる。有権者は傍観者であってはならない。

 選挙に正解はないが、正解を求めて思いを巡らせることによって、地域づくりは深化していく。

 1票の大切さを改めて認識しておきたい。