平昌冬季五輪があす、開幕する。優れた選手たちの名勝負が生み出す、感動に満ちた大会になることを祈る。
 
 本来、政治と一線を画すべき「平和の祭典」には、緊張関係にある韓国と北朝鮮の政治的思惑が、色濃く反映されている。
 
 残念ながら、北朝鮮が五輪を、金正恩(キムジョンウン)体制の宣伝と制裁包囲網の弱体化に利用しようとしているのは明らかだ。
 
 韓国の文在寅(ムンジェイン)政権は融和路線に傾いているが、閉幕後に、米韓合同軍事演習が行われれば、再び緊張が高まる恐れが強い。
 
 大会期間中も、日米など国際社会は、北朝鮮への監視と包囲網を緩めてはならない。
 
 大切なのは、選手が心置きなく、伸び伸びと競技できる環境を整えることである。
 
 鍛え抜いた肉体から繰り出される力と技に、盛大な拍手と声援を送ろう。
 
 日本選手の活躍も楽しみである。選手団は、124人の選手と145人の役員で269人の陣容だ。いずれも海外で開催される冬季五輪では史上最多の規模となる。
 
 日本オリンピック委員会(JOC)は、複数の金を含めて過去最多の9個以上のメダル獲得を目標にしている。
 
 中でも、多くのメダルを期待できそうなのが、スピードスケート女子だ。
 
 選手団の主将を務める小平奈緒選手は、500メートルで昨季から国内外の24レースに出場して負けなしの強さである。1000メートルでも昨年12月に世界記録を出しており、2種目で金メダルの有力候補だ。
 
 高木美帆選手も複数の種目でメダルの可能性がある。
 
 フィギュアスケート男子では、五輪連覇を狙う羽生結弦選手や、宇野昌磨選手の活躍が期待される。
 
 スキーのジャンプなど有望種目は多く、日本勢の戦いが待ち遠しい。
 
 南北融和にも注目したい。韓国と北朝鮮は開会式で、朝鮮半島を描いた「統一旗」を使って合同入場行進する。
 
 アイスホッケー女子では南北合同チームが結成された。看過できないのは、スウェーデンとの練習試合で、韓国が領有権を主張する竹島が描かれた統一旗が掲げられたことだ。日本政府が韓国側に抗議したのは当然である。
 
 気掛かりなのは、やはり北朝鮮の動向だ。五輪開幕を控えたきょう、朝鮮人民軍創建日の軍事パレードを行う動きを見せている。
 
 南北の融和に水を差すのは必至だ。北朝鮮は威嚇的な行動を慎まなければならない。
 
 朝鮮半島情勢は予断を許さず、いつにも増して五輪外交の意味は大きいと言える。開会式に臨む安倍晋三首相は文大統領と会談し、北朝鮮の核・ミサイル開発を阻止するために、日米韓の連携の必要性を確認するという。
 
 不測の事態への備えは必要だが、平和的解決に向けた外交努力を重ねることが欠かせない。南北融和を一時的なものに終わらせてはならない。