とくしま記念オーケストラ事業を巡る脱税事件の論告求刑公判が、東京地裁で開かれた。
 
 音楽プロダクション元代表取締役川岸美奈子被告は被告人質問で、確定申告しなかった理由について「業務の忙しさに追われ、失念していた」と述べた。
 
 しかし、県の巨額の公金がつぎ込まれた記念オケ事業で大きな利益を得た川岸被告は、事業を巡る数々の疑問には触れなかった。残念なことだと言わざるを得ない。
 
 起訴状によると、川岸被告は2016年7月期までの3年間、所得約1億2900万円を確定申告せず、法人税など約3千万円を免れたとしている。
 
 所得の大半は記念オケの業務で得た手数料だとみられる。
 
 検察側は、法人税法違反などの罪に問われたプロダクションに罰金900万円、川岸被告に懲役10月を求刑した。
 
 川岸被告は記念オケの立ち上げに関わり、11年5月~13年3月には県の非常勤の政策参与を務めた。なぜ、県の音楽事業に川岸被告が深く関わるようになったのか。県が川岸被告を重用した理由だけでなく、飯泉嘉門知事との関係性もはっきりとしない。
 
 記念オケ事業費の積算根拠も曖昧だ。県議会の審議の必要がない基金から大きな事業費を拠出する”抜け道“を通るような県の手法に、県民が疑問を抱くのはもっともである。
 
 疑惑の真相を追及する住民団体も結成され、知事や県議会に究明を求める構えだ。
 
 川岸被告は、県民の疑問に真摯(しんし)に答えてもらいたい。