イスラム教の聖典「コーラン」にこんな言葉がある。<地上をあまりいい気になって闊歩するでない。別にお前に大地を裂くほどの(力がある)わけでもなし、高い山々の頂上まで登れるわけでもあるまい>(岩波文庫、井筒俊彦訳)

 時に盾突く小欄も、安倍晋三首相の演説に深くうなずいた。「人命を盾にした脅迫であり、許し難い。強い憤りを覚える。直ちに解放するよう強く要求する」。過激派「イスラム国」らしきグループが、日本人とみられる2人の殺害をインターネットで警告した

 欧米の対イスラム国政策に、日本が協力していると批判し、身代金2億ドル(約235億円)を支払うよう求めている。「いい気になって闊歩するでない」とでも言いたいのだろう。そのままお返ししたい。過激主義を決して認めるわけにはいかない

 拘束されている可能性のある後藤健二さんは、中東やアフリカの紛争地で、女性や子どもに焦点を当てた取材を重ねてきた。「息を潜めて暮らす人たちの声を伝えたい」。それが使命、と口癖のように語っていたという

 貧困を培養土に育ってきた過激主義。苦しむ人々の明日を、顧みたことがあるのかどうか。国際社会と歩調を合わせ、中東の友人の力を借りながら、2人の救出に全力を尽くそう。こんな卑劣な連中に、屈するわけにはいかない。