おめでたい言葉を、と頼まれて、一休宗純はしたためた。「親死 子死 孫死」。何を書くんだ、と怒った信者に言ったとか。「じゃあ、孫死に、子死に、親死に、の方がいいかい」

 生老病死。仏教にいう、人として避けられない四つの苦しみである。すなわち生まれること、老いること、病気をすること、死ぬこと

 先に生まれた者が先に逝くのは自然の習い、諦めもつく。現実は順番通りとばかりはいかない。病気で、事故で、一般に逆縁と呼ばれる事態に直面する人がいる。加えて理不尽な、あまりに理不尽な事件が増えている

 イスラム過激派による人質惨殺。ナイジェリアの10歳の少女は、体に爆弾をつけられ、自爆テロを強要されて死んだ。拉致された200人余りの女子生徒は、いまだに戻らない。子を失った、あるいは生きながら手元から引きはがされた親たちの、むせび泣く声が世界に満ちている

 嘆きの壁にレンガをまた一つ積む、むごたらしい事件が起きた。容疑者は逮捕されたけれど、「なぜ」を問うのも、むなしい作業になるかもしれない。和歌山県紀の川市、ほんの11歳の小学生に、殺されなければならないだけの理由があろうはずはない

 愛する者と別れる苦しみを「愛別離苦」という。お釈迦様がどうして八苦の一としたのか、分かり過ぎる昨日今日である。