トラフグの肝には、強力な毒がある。決して食べてはならない。過去には、著名な歌舞伎俳優もフグ中毒で亡くなった
 
 安全保障関連法案を審議する衆院平和安全法制特別委員会の質疑に、フグが登場した。民主党の寺田学氏が「全面的な集団的自衛権の行使が憲法違反なのに、その中から切り出した限定的な行使が合憲になる理由は何か。腐ったみそ汁から一杯だけ取り出したところで、腐っている」と迫った

 これに対し、横畠裕介内閣法制局長官が「仮に毒キノコだとすれば、一部をかじってもあたる。しかし、フグなら全部食べると毒にあたるが、肝を外せば食べられる」と答えた
 
 平和国家の未来を左右する集団的自衛権行使をめぐる合憲・違憲論議に、珍妙な禅問答とは。フグに例えるにしても、もう一つ大きな問題がある。それは、衆院憲法審査会で3人の憲法学者が安保法案を「違憲」と指摘して以降、フグをさばく板前の腕への疑問が深まったことだ
 
 今、こんなフグ料理屋に私たちはいる。首相「はい、できました、生きのいいフグですよ」、国民「大丈夫なんだろうね」、首相「大丈夫です。危険な部位はよく取り除いてありますから」。そんなふうに歯切れよく、自信満々の首相からフグ料理ならぬ集団的自衛権を差し出されたら、あなたは子どもに食べさせられますか?